前回でパソコンの組み立てが終わった。ここからはWindows 10とデバイスドライバーをインストールし、パソコンを使える状態にする手順だ。
14. Windows 10をインストールする
今新しくパソコンを組むなら、OSはWindows 10になるだろう。購入したパッケージのメディアを使ってインストールしてもよいが、もう1台パソコンがあるなら、手持ちのUSBメモリーやDVD±Rドライブを使ってインストール用メディアを作ってもよい。当然だが、インストール用メディアを作れると言ってもアクティベーションにはプロダクトキーが必要なので、購入しなくてもよいというわけではない。
インストール用メディアを作るメリットは、最新版のWindows 10をインストールできる点だ。Windows 10は半年に1回のペースで大型アップデートが行われる。そのため例えば1年前に買ったメディアでインストールすると、アップデートにとても時間がかかる。最新の大型アップデートを適用した状態でインストールすれば、インストール後は最小限のアップデートで済む。
インストール用メディアの作成にはマイクロソフトが提供する「Media Creation Tool」というソフトを使う。ソフト自体のバージョンが古いと古いバージョンのWindows 10をダウンロードする場合があるため、作業する直前にマイクロソフトのWebサイトからダウンロードするとよい。
インストールメディア作成ツール「Media Creation Tool」
ダウンロードはこちらなお、インストール中の画面はアップデートの度に少しずつ変化している。今回紹介するのは「Fall Creators Update」の手順だ。
Windows 10の「Media Creation Tool」
マイクロソフトが提供するツール「Media Creation Tool」。最新版のWindows 10のインストールメディアを作れる他、ISOイメージファイルのダウンロードもできる。
USBメモリーに直接コピー
ツールでUSBメモリーの作成を選ぶのが簡単。指定したUSBメモリーの中身は全て消えるので注意しよう。新しく用意するのが安全だ。4GBだと足りない場合があるため、8GBのUSBメモリーを使う。
起動デバイスを選ぶ
「Boot Override」というメニューからUSBメモリーを選ぶ。UEFIモードでインストールする際は「UEFI:○○」という選択肢を選ぶ。マザーボードによってBoot Overrideのメニューがないこともある。その場合は起動順番のメニューで「UEFI:○○」を一番上に設定しよう。
「今すぐインストール」をクリック
最初にインストールする際は中央の「今すぐインストール」をクリックすればよい。Windowsが起動しなくなった際に修復を試みる場合は左下の「コンピューターを修復する」を選ぶ。
プロダクトキーの入力
購入したパッケージにあるプロダクトキーを入力する。「プロダクトキーがありません」をクリックすると入力せずに進められる。一度アクティベーションを済ませたパソコンはハードウェアの情報を使って自動的にアクティベーションが実行されるので、再インストール時はこちらを選ぶと便利。
インストール先のドライブを選ぶ
Windows 10をインストールするドライブを選ぶ。初めて使うドライブは「割り当てられていない領域」と表示される。領域を作成したドライブは「パーティション1:○○」といった表示になる。インストール先を間違えないように、対象外のドライブはあらかじめケーブルを抜いておくのも手だ。今回はM.2のSSDへインストールした。
インストールが始まる
インストールが始まったら、しばらくは見ているだけだ。途中で何度かシステムが再起動する。USBメモリーからSSDへのインストールなら、10分程度で終わるはずだ。今回の構成では約7分で次の画面へ進んだ。
サインインに使うアカウントを設定する
Windows 10ではサインインに「Microsoftアカウント」か「ローカルアカウント」のどちらかを使う。インターネットに接続していればここでMicrosoftアカウントを選べる。ローカルアカウントを使うには「オフラインアカウント」をクリックすればよい。
ローカルアカウントを作成
ここではローカルアカウントを作成する。再度Microsoftアカウントを薦められるが、「いいえ」を選ぶ。次にローカルアカウントのアカウント名を決める。名前を入力して「次へ」を選択する。
パスワードを設定する
サインインする際のパスワードを設定する。Microsoftアカウントなら忘れてしまった際にリセットする手段があるが、ローカルアカウントではできない。覚えておけるパスワードを設定しよう。
Cortanaとプライバシーの設定
Cortanaにユーザー情報の使用を許可するかを設定し、次の画面でサービス向上のためにマイクロソフトにどんな情報を送信するかを設定する。送る情報は制限できるが、完全に遮断することはできない。
15. デバイスドライバーをインストールする
Windows 10をインストールした直後は、Windows 10があらかじめ備えているデバイスドライバー(「インボックスドライバー」とも呼ぶ)しかないため、一部の機能が使えなかったり、性能が発揮できなかったりする。そこでデバイスドライバーをインストールする。従来はマザーボード付属のCDやDVDでインストールしていたが、今は光学ドライブがないパソコンが多いこともあり、メーカーのWebサイトなどから最新版をダウンロードするのが主流と言えるだろう。
デバイスドライバーはWindows Updateでも入手できる。そのためまずWindows Updateを実行してから足りないデバイスドライバーをメーカーのWebサイトから入手するという手順が楽だ。場合によっては、Windows Updateだけで一通りのデバイスドライバーがそろってしまうこともある。
この時、LANや無線LANのデバイスドライバーが極めて重要になる。これがないと、そもそもWindows Updateを実行できないからだ。インストールの際に最新版のWinows 10を使うとインボックスドライバーも更新されているため、このトラブルを避けやすい。組み立てたパソコンでインターネットに接続できない場合は、他のパソコンを使ってLANのドライバーをダウンロードする、マザーボードの付属ディスクからUSBメモリー経由でコピーするといった手段で対応するとよい。USB接続のDVDドライブを1台持っておくのも有効だ。
デバイスマネージャーで状態を確認
デバイスマネージャーを開くと、多くの項目に「!」マークが付いているのが分かる。これは機器や機能が正常に認識されていないという意味だ。この画面はWindows 10のインストール時にインターネットに接続できなかった場合のもの。接続できた場合は途中でWindows Updateを実行しているため、もっと少ないはずだ。
デバイスマネージャーの「!」がなくなれば、一通りのセットアップ作業は完了だ。好きなソフトをインストールして使い始められる。本格的に使い始める前に、セキュリティソフトをインストールするのを忘れないようにしよう。
自作パソコンの楽しみは、組み上がってからも続く。規格さえ合えば好きなようにパーツの追加や交換ができるため、不満の出た部分を補強して長く使い続けたり、全く新しい機能を追加したりといったこともできる。自分の使う道具を自分で組み上げる楽しさを、ぜひ味わってもらいたい。
(文・写真=SPOOL)
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