SynologyのNASは使いやすさや機能の多さで世界中から支持されている。その魅力を4回にわたって紹介する。NASは外付けストレージの一種でデータを保存することが主な用途だが、データ活用の面ではUSB接続のHDDと比べて段違いにできることが多い。セットアップの手順から活用方法までたっぷり見ていこう。
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目次
そもそもNASって何?
NASと言われても、馴染みのない人にはピンと来ないかもしれない。そこで、NASとは何かというところから簡単に説明しよう。NASは「Network Attached Storage」の略語で、「ナス」と読む。その名の通りネットワーク接続のストレージで、主にLAN経由でアクセスするのが特徴だ。USB接続のHDDならPCにUSBケーブルをつなぐが、NASはネットワークのルーターやハブなどにLANケーブルでつなぐ。独自のOSでPCから独立して動作するため、24時間電源を入れっぱなし(使っていない時はスリープ状態)で運用するのが基本だ。簡易的なサーバーと言った方がイメージしやすいかもしれない。もっと簡単に言うと、ネット環境があればスマートフォンやPCからどこでもデータの出し入れができる魔法の箱のようなものだ。
使い方の面では、ドライブレターを割り当てないことが特徴的だ。Windows 11のエクスプローラーでは「ネットワーク」のカテゴリーに表示される。Webブラウザーからもアクセス可能だ。またネットワーク上にあるため、複数のPCやスマートフォンから同時に接続できる。USBメモリーのようなデータをコピーして渡すといった手順が不要になり、同じNASにアクセスできる人にファイルを渡すのがとても簡単になる。保存するフォルダーを決めておき、家族がそれぞれ購入した音楽ファイルをまとめて管理するといったこともできる。
DiskStation DS223jの仕様を確認
それでは、実際に製品を見ていこう。今回は「DiskStation DS223j」を使う。本機は別売のドライブを2台内蔵可能なNASキット。クアッドコアCPUと1GBのメモリを搭載し、RAID 0/1にも対応したエントリー向けモデルだ。
OSは「DiskStation Manager(DSM)」を使う。2026年2月時点の最新版はバージョン7.3.2。Webブラウザー上で動作し、Windowsのように操作して、設定などが行える。アプリを追加することで写真や音楽などをNAS上で扱えるようになる。SynologyのNASにはCPUのグレードやドライブベイの数などで多くのバリエーションがあるが、全てこのDSMを使う。
「QuickConnect」という、外部アクセス用のサービスも便利だ。家の外(LANの外側)からDS223jにアクセスできるようになる。クラウドストレージサービスのような使い方ができるわけだ。通常、外部からNASにアクセスするにはIPアドレスやルーターなどの複雑な設定をする必要があり、ハードルが高い。QuickConnectなら、Synologyのサーバーで認証をすることで設定にかかる手間を減らせる。
そのほか、主な仕様は以下の通りだ。
| 対応ストレージ | 3.5/2.5インチ SATAドライブ×2 |
| 対応RAIDレベル | RAID 0/1/JBOD/Synology Hybrid RAID(SHR) |
| 転送速度 | 読込/書込:最大113MB/s |
| CPU | 1.7GHz クアッドコア(Realtek RTD1619B) |
| メモリ | 1GB DDR4 |
| インターフェース | 背面:USB 3.2 Gen 1×2、LAN×1 |
| ネットワーク | ギガビットイーサネット×1 |
| 冷却ファン | 92mmファン×1 |
| ノイズレベル | 18.2dBA |
| 消費電力 | 4W(アイドル)、16.31W(負荷時) |
| 外形寸法 | 100(W)×165(H)×225.5(D) mm |
| 本体重量(ドライブ除く) | 0.88kg |
| 保証期間 | 2年 |
製品ラインアップには今回使用する「J」シリーズの他にもいくつか種類がある。簡単に紹介しよう。
| シリーズ名 | 位置付け | 概要 |
|---|---|---|
| Jシリーズ | エントリー | ホームユーザー、個人ユーザーに最適。基本的な機能を備え、メディアストリーミング、ファイル共有、バックアップなどができる。 |
| Valueシリーズ | コストパフォーマンス | SOHO環境やワークグループ向けのシリーズ。Jシリーズより高性能なCPUを搭載し、高いパフォーマンスを提供する。 |
| Plusシリーズ | 高機能 | Valueシリーズよりもさらに高速なCPUを採用している。同時接続機器数や管理可能な論理ドライブの数が多いなど高いスケーラビリティを備え、ワークグループや中小企業に最適。 |
| FS/XS/HD/SAシリーズなど | ビジネス | 30台以上のドライブを搭載可能なモデルもあり、大規模ビジネス向けに最適化されたシリーズ。仮想化ソリューションに対応し、ストレージの効率性を高めつつ管理もしやすくできる。 |
Synologyは社内で信頼性や互換性を検証した同社製HDD/SSDも販売しており、業務向けモデル(上の表の最下段)ではそれらを使用する必要がある。一時はJシリーズやPlusシリーズなどにもそのポリシーを適用していたが、現在は緩和されているため、DS223j ではサードパーティ製HDDも使える。SynologyのWebサイトで互換性リストを公開しているため、事前に確認すると良いだろう。
Synologyは自社製NASに最適化したHDDも販売している。NAS用なので24時間365日の連続動作を前提とした設計になっており、DSMからファームウェアのアップデートも可能。3年の長期保証もあり、安心して利用できる。
Synology 製NASとHDDを同梱したセットもあり、まとめて購入するならこちらが手軽だ。
NASのデータを保護するRAID機能
RAIDについて少し補足しよう。RAIDは複数のドライブをまとめて管理し、高速化したり冗長性(故障への耐性)を高めたりする機能だ。RAIDレベルは動作モードのことで、よく使われるのはRAID 0/1/5/6/10(1+0)/JBOD。DS223jではRAID 0/1/JBODに加えてSynology独自の「Synology Hybrid RAID(SHR)」に対応している。それぞれの特徴は下の表の通り。RAID 5以上は3台以上のドライブが必要になるため、今回使用するDS223jは対応していない。
| RAIDレベル | 内容 | ドライブの最低必要台数 | 使える容量 | 冗長性 |
|---|---|---|---|---|
| RAID 0 | 2台以上のHDDを1つにまとめて高速化する。 | 2台~ | 全容量 | なし |
| RAID 1 | 片方をもう片方のコピーにする。 | 2台 | 1台分 | 1台 |
| RAID 5 | 復元用データ(パリティ)を作り、1台の故障に耐えられる。 | 3台~ | 全体-1台分 | 1台 |
| RAID6 | 復元用データ(パリティ)を作り、2台の故障に耐えられる。 | 4台~ | 全体-2台分 | 2台 |
| RAID 10 | RAID 1を構成し、それを使ってRAID 0を構成する。 | 4台~ | 全体の1/2台分 | 最大で全体の1/2台 |
| JBOD | 「Just a Bunch Of Disks」の略。2台以上のHDDを高速化せずに1つにまとめる。 | 2台~ | 全容量 | なし |
| SHR | ドライブ構成に応じて最適な動作モードを自動で選択する。 | 1台~ | 全体-1台分 (2台以上の場合) |
1台 (2台以上の場合) |
| SHR-2 | ドライブ構成に応じて最適な動作モードを自動で選択する。 | 4台~ | 全体-2台分 | 2台 |
2台モデルでは、読書速度と容量がほしい場合はRAID 0、冗長性がほしい場合はRAID 1を使うと覚えておくとよい。SHRを使うとドライブ構成に応じて最適な動作モードを選んでくれる。DS223jのような2台モデルではRAID 1とほぼ同じで、3台以上ではRAID 5がベースとなる。RAIDレベルを後から変更するにはデータを全て消す必要がある場合もあるため、セットアップを始める前にどれを使うか決めておこう。通常はデータ保護の観点からもSHRを使うのがお勧めだ。
使う機会は少ないかもしれないが、RAIDを構成せずに1台ずつ使うことも可能だ。
DiskStation DS223jにHDDを組み込む
SynologyのNASは基本的に組み立てキットなので、自分でHDDを組み込む必要がある。ただ、組み立てはとても簡単にできるように工夫されている。写真で手順を紹介しよう。この手順はDS223jのもので、モデルによって手順が異なる場合がある。例えば、「PLUS」シリーズは着脱可能なトレイを使って取り付ける。筐体を開ける必要がなく、簡単にドライブの取り付け/交換ができる。
DSMをセットアップする
組み立てが終わったら、DSMのセットアップに移る。セットアップと言っても、画面に表示される手順に沿って進めるだけでよく、ネットワークの知識はほぼ必要ない。ACアダプターとLANケーブルをつなぎ、電源を入れれば、後はWebブラウザー上で進められる。注意点としてはPCと同じLAN内につなぐ必要があることくらいだが、一般家庭でトラブルが起こることはまずないだろう。
セットアップの手順は以下の通りだ。ただし画面構成や内容は機種やHDDの搭載数などで違いがあったり、DSMのバージョンアップに伴って変更される可能性がある。
Webブラウザーのアドレスバーに「finds.synology.com」と入力すると、LAN内にあるSynology製のNASが検出される。専用ユーティリティの「Synology Assistant」をダウンロードして利用してもよい。
ここから先に進めるとドライブが初期化されるため、内部にデータがある場合は全て失われる。ドライブが新品なら気にする必要はない。チェックボックスにチェックを入れて「OK」をクリックする。この後の画面で、確認のため製品のモデル名を入力する。
RAIDを設定する
この時点ではまだDSMがインストールされただけで、ストレージとして利用できない。内蔵したドライブをどのように管理するかの設定を行う必要がある。
ここでは「ストレージプール」と「ボリューム」という用語が登場する。ストレージプールとは物理的なドライブを管理する単位だ。ストレージプールに1台以上のドライブを登録しておき、登録されたドライブでRAIDを構成することになる。プールを2個以上登録することも可能だ。今回はHDD2台を使って1つのストレージプールを作成する。
ボリュームはOSが論理ドライブを管理する単位。論理ドライブは物理的なHDDの台数と一致する必要はなく、RAID 1でボリュームを1個作成すると、HDD2台を1個のボリュームで管理することになる。容量の割り当てを減らし、2個目のボリュームを作ることも可能だ。ボリュームを増やすと管理が複雑になるため、今回は利用できる容量の全てを1個のボリュームに割り当てた。
これでDS223jを使う準備ができた。次回からは使い方を紹介していく。
(文・写真=株式会社アスク)
※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。




