製品レポート

Product Report

Synology NAS入門【手順その1】HDDの組み込み、DSMセットアップ

SynologyのNASは使いやすさや機能の多さで世界中から支持されている。その魅力を4回にわたって紹介する。NASは外付けストレージの一種でデータを保存することが主な用途だが、データ活用の面ではUSB接続のHDDと比べて段違いにできることが多い。セットアップの手順から活用方法までたっぷり見ていこう。

DiskStation DS218+

そもそもNASって何?

NASと言われても、馴染みのない人にはピンと来ないかもしれない。そこで、NASとは何かというところから簡単に説明しよう。NASは「Network Attached Storage」の略語で、「ナス」と読む。その名の通りネットワーク接続のストレージで、主にLAN経由でアクセスするのが特徴だ。USB接続のHDDならPCにUSBケーブルをつなぐが、NASはネットワークのルーターやハブなどにLANケーブルでつなぐ。独自のOSでPCから独立して動作するため、24時間電源を入れっぱなし(使っていない時はスリープ状態)で運用するのが基本だ。簡易的なサーバーと言った方がイメージしやすいかもしれない。もっと簡単に言うと、ネット環境があればスマートフォンやPCからどこでもデータの出し入れができる魔法の箱のようなものだ。

使い方の面では、ドライブレターを割り当てないことが特徴的だ。Windows 10のエクスプローラーでは「ネットワーク」のカテゴリーに表示される。Webブラウザーからもアクセス可能だ。またネットワーク上にあるため、複数のPCやスマートフォンから同時に接続できる。USBメモリーのようなデータをコピーして渡すといった手順が不要になり、同じNASにアクセスできる人にファイルを渡すのがとても簡単になる。保存するフォルダーを決めておき、家族がそれぞれ購入した音楽ファイルをまとめて管理するといったこともできる。

DiskStation DS218+の仕様を確認

それでは、実際に製品を見ていこう。今回は「DiskStation DS218+」を使う。本機は別売のドライブを2台内蔵可能なNASキット。NASとしては高性能な、IntelのデュアルコアCPU、Celeron J3355を搭載しているのが特徴だ。

OSは「DiskStation Manager(DSM)」を使う。2018年9月時点の最新版はバージョン6.2。Webブラウザー上で動作し、Windowsのように操作して、設定などが行える。アプリを追加することで写真や音楽、動画などをNAS上で扱えるようになる。SynologyのNASにはCPUのグレードやドライブベイの数などで多くのバリエーションがあるが、全てこのDSMを使う。

「QuickConnect」という、外部アクセス用のサービスも便利だ。家の外(LANの外側)からDS218+にアクセスできるようになる。クラウドストレージサービスのような使い方ができるわけだ。通常、外部からNASにアクセスするにはIPアドレスやルーターなどの複雑な設定をする必要があり、ハードルが高い。QuickConnectなら、Synologyのサーバーで認証をすることで設定にかかる手間を減らせる。

本体カラーは黒。側面のロゴは通気口

本体カラーは黒。側面のロゴは通気口になっている。

出力12V/5AのACアダプターが付属

出力12V/5AのACアダプターが付属する。寸法は実測で幅48×奥行き113×高さ36mm。

前面は電源ボタン、「USB Copy」ボタン、USB 3.0端子とステータスLED、アクセスLED

前面は電源ボタン、「USB Copy」ボタン、USB 3.0端子とステータスLED、アクセスLEDがある。

背面には92mmファンを搭載し、HDDを冷却する。端子はUSB 3.0×2、LAN、eSATA、電源

背面には92mmファンを搭載し、HDDを冷却する。端子はUSB 3.0×2、LAN、eSATA、電源。

そのほか、主な仕様は以下の通りだ。

対応ストレージ 3.5/2.5インチ SATAドライブ×2
対応RAIDレベル RAID 0/1/JBOD/Synology Hybrid RAID(SHR)
転送速度 読込:最大113MB/s、書込:最大112MB/s
CPU Intel Celeron J3355(2.0GHz/最大2.5GHz、デュアルコア)
メモリ DDR3L 2GB(最大6GBまで対応)
インターフェース 前面:USB 3.0×1、背面:USB 3.0×2、eSATA×1、LAN×1
ネットワーク ギガビットイーサネット×1
冷却ファン 92mmファン×1
ノイズレベル 19.3dBA
消費電力 5.4W(アイドル時)、17.23W(負荷時)
外形寸法 108(W)×165(H)×232.2(D) mm
本体重量(ドライブ除く) 1.3kg
保証期間 2年

製品ラインアップには今回使用する「Plus」シリーズの他にもいくつか種類がある。簡単に紹介しよう。

シリーズ名 位置付け 概要
Jシリーズ エントリー ホームユーザー、個人ユーザーに最適。基本的な機能を備え、メディアストリーミング、ファイル共有、バックアップなどができる。
Valueシリーズ コストパフォーマンス SOHO環境やワークグループ向けのシリーズ。Jシリーズより高性能なCPUを搭載し、高いパフォーマンスを提供する。「Play」シリーズは動画のトランスコード専用チップも搭載している。
Plusシリーズ 高機能 Valueシリーズよりもさらに高速なCPUを採用している。同時接続機器数や管理可能な論理ドライブの数が多いなど高いスケーラビリティを備え、ワークグループや中小企業に最適。
FS/XSシリーズ ビジネス 20台以上のドライブを搭載可能なモデルもあり、大規模ビジネス向けに最適化されたシリーズ。仮想化ソリューションに対応し、ストレージの効率性を高めつつ管理もしやすくできる。

NASのデータを保護するRAID機能

RAIDについて少し補足しよう。RAIDは複数のドライブをまとめて管理し、高速化したり冗長性(故障への耐性)を高めたりする機能だ。RAIDレベルは動作モードのことで、よく使われるのはRAID 0/1/5/6/10(1+0)/JBOD。DS218+ではRAID 0/1/JBODに加えてSynology独自の「Synology Hybrid RAID(SHR)」に対応している。それぞれの特徴は下の表の通り。RAID 5以上は3台以上のドライブが必要になるため、今回使用するDS218+は対応していない。

RAIDレベル 内容 ドライブの最低必要台数 使える容量 冗長性
RAID 0 2台以上のHDDを1つにまとめて高速化する。 2台~ 全容量 なし
RAID 1 片方をもう片方のコピーにする。 2台 1台分 1台
RAID 5 復元用データ(パリティ)を作り、1台の故障に耐えられる。 3台~ 全体-1台分 1台
RAID6 復元用データ(パリティ)を作り、2台の故障に耐えられる。 4台~ 全体-2台分 2台
RAID 10 RAID 1を構成し、それを使ってRAID 0を構成する。 4台~ 全体の1/2台分 最大で全体の1/2台
JBOD 「Just a Bunch Of Disks」の略。2台以上のHDDを高速化せずに1つにまとめる。 2台~ 全容量 なし
SHR ドライブ構成に応じて最適な動作モードを自動で選択する。 1台~ 全体-1台分
(2台以上の場合)
1台
(2台以上の場合)
SHR-2 ドライブ構成に応じて最適な動作モードを自動で選択する。 4台~ 全体-2台分 2台

2台モデルでは、読書速度と容量がほしい場合はRAID 0、冗長性がほしい場合はRAID 1を使うと覚えておくとよい。SHRを使うとドライブ構成に応じて最適な動作モードを選んでくれる。DS218+のような2台モデルではRAID 1とほぼ同じで、3台以上ではRAID 5がベースとなる。RAIDレベルを後から変更するにはデータを全て消す必要がある場合もあるため、セットアップを始める前にどれを使うか決めておこう。通常はデータ保護の観点からもSHRを使うのがお勧めだ。

使う機会は少ないかもしれないが、RAIDを構成せずに1台ずつ使うことも可能だ。

DiskStation DS218+にHDDを組み込む

SynologyのNASは基本的に組み立てキットなので、自分でHDDを組み込む必要がある。ただ、組み立てはとても簡単にできるように工夫されている。写真で手順を紹介しよう。この手順はDS218+のもので、モデルによって手順が異なる場合がある。例えば、エントリーモデルの「DiskStation DS218j」はドライブをシャーシに直接ねじ留めする方式で、2.5インチドライブを取り付けるには別売の2.5インチドライブ用ホルダーが必要になる。

HDDは前面から取り付ける

HDDは前面から取り付ける。まず前面パネルを外す。ゴム製の固定ピンで留まっているため、引っ張るだけで外せる。

ドライブベイのトレイを取り出す

ドライブベイのトレイを取り出す。上部のつめを押し上げながら引くとよい。

3.5インチHDDを使う場合

3.5インチHDDを使う場合は、付属するパーツとセットで使う。2.5インチHDD/SSDの場合はねじで固定する。

HDDをトレイに乗せ、側面のねじ穴の位置を合わせる

HDDをトレイに乗せ、側面のねじ穴の位置を合わせる。そこにさきほどのパーツを取り付けると固定できる。

HDDのトレイを戻す

HDDのトレイを戻す。持ち手部分に印があるので、それを上にするとよい。うまく入らない時は一度見直してみよう。

もう1台も同様に取り付ける

もう1台も同様に取り付ける。ベイの上にある丸印はドライブの番号を表し、アクセスLEDの「DISK 1」と「DISK 2」に対応している。

前面パネルを戻せば取り付けは完了

前面パネルを戻せば取り付けは完了だ。電源を入れて、「DISK 1」と「DISK 2」両方に緑のLEDが点けば正常に認識している。

DSMをセットアップする

組み立てが終わったら、DSMのセットアップに移る。セットアップと言っても、画面に表示される手順に沿って進めるだけでよい。ネットワークの知識はほぼ必要ない。ACアダプターとLANケーブルをつなぎ、電源を入れれば、後はWebブラウザー上で進められる。注意点としてはPCと同じLAN内につなぐ必要があることくらいだが、一般家庭でトラブルが起こることはまずないだろう。

セットアップの手順は以下の通りだ。ただし画面構成や内容は機種やHDDの搭載数などで違いがあったり、DSMのバージョンアップに伴って変更される可能性がある。また、2018年7月現在、DSMのセットアップにはPCが必要だが、将来スマートフォン用のアプリを使ってセットアップができるようになる予定だ。

Webブラウザーのアドレスバーに「find.synology.com」と入力

Webブラウザーのアドレスバーに「find.synology.com」と入力すると、LAN内にあるSynology製のNASが検出される。複数台見つかった場合は、写真の左右に矢印が現れる。専用ユーティリティの「Synology Assistant」をダウンロードして利用してもよい。

「接続」を選ぶ

「接続」を選ぶと、使用許諾の画面になる。目を通してチェックを入れ、右下の「OK」をクリックする。

「設定」をクリック

次の画面で「設定」をクリックする。

「今すぐインストール」を選ぶ

「今すぐインストール」を選ぶと最新版のDSMをダウンロードしてインストールする。RAIDモードはSHRになる。自分で設定する場合は「手動インストール」を選ぶ。

ドライブが初期化される

ここから先に進めるとドライブが初期化されるため、内部にデータがある場合は全て失われる。ドライブが新品なら気にする必要はない。チェックボックスにチェックを入れて「OK」をクリックする。

DSMのダウンロードとインストールが始まる

DSMのダウンロードとインストールが始まるので、少しの間待つ。インストールが終わると自動で再起動する。

DS218+の管理者アカウント

DS218+の管理者アカウントを作る。「サーバー名」は他の機器から見た際の表示名だ。「ユーザー名」と「パスワード」は本機へのサインインに使う。

自動アップデートとハードウェアテストの設定

自動アップデートとハードウェアテストの設定をする。アップデート後は再起動が必要な場合もあるため、自分のタイミングで実行したいなら手動を選ぶとよい。

QuickConnect

QuickConnectは、NASにLANの外からアクセスするための機能。利用するにはSynologyアカウントが必要だ。持っていない場合はここで作成できるほか、後でDSM内で作成することもできる。

QuickConnectを設定するとURLが発行される

QuickConnectを設定するとURLが発行される。画面中央のアイコンをデスクトップにドラッグ・アンド・ドロップするとショートカットを作成できる。

DSMはアプリで機能を追加できるのが売り

DSMはアプリで機能を追加できるのが売り。ここでお勧めのアプリをまとめてインストールできる。

これで初期設定は完了

これで初期設定は完了だ。「移動」をクリックするとDSMのデスクトップに移動する。

DSMのインターフェース

DSMのインターフェースはWindowsやMac OSのデスクトップと似ており、アイコンをクリックして操作する。

これでDS218+を使う準備ができた。次回からは使い方を紹介していく。

(文・写真=SPOOL

※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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