製品レポート

Product Report

夏を乗り切るCPUクーラーはこれだ!空冷モデル厳選3製品【2017年版】

ここ数世代、Intel製CPUの発熱は低くなる傾向にあり、以前と比べると高性能なCPUクーラーを使う機会は減っていると言えるだろう。しかしCPUクーラーの重要性が下がったわけではない。例えばCPUをオーバークロックする人にとっては変わらず重要なパーツだ。

オーバークロックをしない場合でも、CPUの温度を低く保つことには様々なメリットがある。温度が高くなり過ぎれば自動的に処理性能を落とす「スロットリング」が起こって本来の性能を引き出せなくなるし、そこまででなくともTurbo Boostなど自動オーバークロック機能の効き具合はCPU温度によって変化する。空冷のCPUクーラーは構造上、CPU温度を室温より下げることはできないため、CPU温度は室温の影響を受ける。

多くの場合、CPUクーラーのファンの回転数はCPU温度に連動して変化する仕組みになっている。CPU温度が上がればファンの回転数も上がる。夏は冬よりも室温が高い分CPU温度も高くなるため、冬に組んだPCが夏になるとうるさくなるといったケースもあり得る。冷却性能の高いCPUクーラーはCPU温度に余裕を持たせられるため、ファンの回転数が上がりにくいというメリットもある。

今回は3種類の製品を紹介する。それぞれ特徴があるため、好みの製品を見付けてほしい。

MasterAir Maker 8(Cooler Master Technology)

Cooler Master Technology MasterAir Maker 8 製品画像

対応ソケット Intel:LGA2066/2011-3/2011/1366/1151/1150/1156/1155/775
AMD:Socket FM2+/FM2/FM1/AM4/AM3+/AM3/AM2+
搭載ファン 14cm×2
ファンの回転数 600~1800rpm(PWM)
騒音値 8~24dB(A)
ヒートパイプ 直径6mm×8
サイズ 幅145×奥行き135×高さ172mm
重量 1.35kg

※AM4アップグレードキットが必要

MasterAir Maker 8は145×135×172mmと大型なCPUクーラーだ。直径6mmのヒートパイプを8本、直径14cmのファンを2個搭載している。最大の特徴は「3Dベイパーチャンバー」だ。ベイパーチャンバーとは、簡単に言うと板状のヒートパイプのこと。これをCPU接触部に配置することで、CPUから吸収した熱をベース部全体へ高速に拡散できる。ヒートパイプのうち4本はこのベイパーチャンバーと直結しており、ベース部の熱を直接フィンブロックに移動させられる。

付属品はとても多い

付属品はとても多い。上面の交換用プレートやファン交換のための固定具など、カスタマイズ用のパーツもある。

内部に冷媒を封入したベイパーチャンバー

CPU接触面は銅製のプレートに見えるが、内部に冷媒を封入したベイパーチャンバーだ。

クーラー全体を見てみると、1個のフィンブロックを2個のファンが挟む、大型クーラーとしてはスタンダードな構成だ。ヒートパイプがCPU接触部の熱をアルミ製のフィンブロックへ運び、温まったフィンをファンの風で冷やす。ファンの固定方法は独特で、着脱しやすい。ゴムブッシュやクリップで固定するのが一般的だが、MasterAir Maker 8は専用の固定パーツを使う。ヒートシンク側にレールがあり、ファン側のガイドをレールに沿ってスライドさせて取り付ける。外す際は固定を解除するボタンを押しながらスライドさせるだけでOKだ。

また、CPUクーラーを装飾したい人向けにカスタマイズ用のパーツも付属している。ファンを12cm角に交換するための固定用パーツがあるので、さらに派手なLEDを搭載したモデルに変更できる。反対にもっとおとなしい光り方をさせたい場合は、上面のプレートを不透明なものに交換できる。上面のプレートは3Dプリンター用のデータが公開されているので、自分でオリジナルのものを作ることも可能だ。

直径14cmと大型のファンを使っているため、低い回転数でも高い冷却能力を得られる。ファンの騒音値が8~24dB(A)と低いのもポイントだ。

内部がCPU接触部のベイパーチャンバー

奥に見える、垂直に伸びているヒートパイプが3Dベイパーチャンバーだ。内部がCPU接触部のベイパーチャンバーとつながっている。

ファンとヒートシンクは専用の固定具で固定している

ファンとヒートシンクは専用の固定具で固定している。根本側にあるボタンを押すとつめが外れ、ファンをスライドさせられる。

ファンは直径14cm

ファンは直径14cm。回転数は600~1800rpmだ。LEDを内蔵しており、動作中は赤く光る。

マザーボードに取り付けたところ

マザーボードに取り付けたところ。幅が広いため、ファンがメモリーを覆っている。背の高いヒートシンクを搭載したメモリーとは組み合わせない方がよい。

ETS-T50AXE Black(Enermax Technology)

Enermax Technology ETS-T50AXE Black 製品画像

対応ソケット Intel:LGA2011-3/2011/1366/1151/1150/1156/1155/775
AMD:Socket FM2+/FM2/FM1/AM3+/AM3/AM2+/AM2
搭載ファン 12cm×1
ファンの回転数 800~1800rpm(PWM)
騒音値 18.9~25dB(A)
ヒートパイプ 直径6mm×5
サイズ 幅111.9×奥行き138.7×高さ160mm
重量 860g

ETS-T50AXE Blackはユニークな見た目のCPUクーラーだ。ヒートパイプもフィンも全て真っ黒に塗装されており、付属ファンはLEDで赤、青、緑の3色に光る。PCケース内の色を統一させたり、格好良く装飾したい人に向く。

取り付けのためのパーツも本体に合わせて黒で塗装済み

取り付けのためのパーツも本体に合わせて黒で塗装済み。ナット一つに至るまで雰囲気を壊さないよう気を使っている。

ヒートパイプダイレクトタッチ機構

ヒートパイプがCPUに直接触れる「ヒートパイプダイレクトタッチ」機構を採用。CPU接触部をヒートシンク中央から少しずらした位置に配置し、メモリーと干渉しにくくした。

直径6mmのヒートパイプを5本搭載しており、ヒートパイプが直接CPUに触れて冷却する。一見よくあるヒートシンクだが、特許を取得した様々な工夫を施してある。放熱フィンは空気の流れを最適化して放熱効果を高める技術を採用。塗装も「Gen.2 TCC(Thermal Conductive Coating)」を使用しており、色を付けるだけでなく熱伝導率も改善しているという。付属ファンも光るだけではなく、PC起動時に10秒間逆回転することで羽根にほこりが付着しにくい仕様だ。

PCケース内を明るい色で統一したい人には、ホワイトモデルもある。白いCPUクーラーは珍しく、一見の価値ありだ。

内部がCPU接触部のベイパーチャンバー

フレームの内側にLEDを搭載。色は赤、青、緑、全色と4パターンあり、それぞれに光るパターンが3種類ずつある。

羽根の向きで風向を制御するAir Guide

ヒートシンクの反対側には、羽根の向きで風向を制御する「Air Guide」がある。風向は中央部を回転させて変更する。ヒートシンクからの排気をPCケースの排気口のある方向に向けて、冷却効率を上げられる。

リテンションに固定するねじはヒートシンクに固定してある

リテンションに固定するねじはヒートシンクに固定してある。ねじがずれないので位置合わせがしやすい。

ヒートシンクを少しバックパネル側に寄せたデザイン

ヒートシンクを少しバックパネル側に寄せたデザインなので、メモリーと干渉しにくい。最もCPUソケットに近いメモリースロットの上も空いているので、ETS-T50AXE Blackを取り付けた後でもメモリーを取り付けられる。

Contac Silent 12(Thermaltake Technology)

Thermaltake Technology Contac Silent 12 製品画像

対応ソケット Intel:LGA1366/1151/1150/1156/1155/775
AMD:Socket FM2/FM1/AM4/AM3+/AM3/AM2+/AM2
搭載ファン 12cm×1
ファンの回転数 500~1500rpm(PWM)、
付属ケーブル使用時 400~1100rpm(PWM)
騒音値 28.8dB(A)、
付属ケーブル使用時 22.1dB(A)
ヒートパイプ 直径6mm×4
サイズ 幅127×奥行き75.3×高さ153mm
重量 700g

Contac Silent 12はスリムなヒートシンクを使った静音重視のCPUクーラーだ。AMDのAM4にも対応をうたっている。ヒートパイプは直径6mmで4本。CPU接触部はヒートパイプが直接CPUに触れる方式だ。ファンは12cm角で500~1500rpmと回転数を抑えている。仕様表の騒音値が他のモデルと比べて高く見えるのは、メーカーが最大値しか公開していないため。回転数が落ちれば、当然騒音値も下がる。

付属品は少ない

AMDプラットフォームでは標準のリテンションを使うため、付属品は少ない。ファンの回転数を落とし、さらに静音化するためのケーブルが付属する。

CPU接触部はヒートパイプを研磨して平らにしたもの

CPU接触部はヒートパイプを研磨して平らにしたもの。CPUの熱をヒートパイプに直接伝えられる。

取り付け方法が簡単な点も特徴だ。固定具はクリップタイプで、ヒートシンク側にあらかじめ固定してある。そのため、AMDプラットフォームであればグリスを塗ってクリップを留めるだけでよい。Intelプラットフォームの場合も、バックプレートを使わないためマザーボード表側からの作業だけで取り付けられる。固定にねじを使わないため、ヒートシンクにファンを付けた状態でマザーボードに取り付けられるのもポイントだ。ファンの固定もファン用クリップでとても簡単。

Contac Silent 12の何よりの魅力は、3000円弱という実勢価格(2017年7月時点)だ。この価格帯で高さ15cmクラスのCPUクーラーはあまりない。

Intelプラットフォームでは付属のリテンションを使う

Intelプラットフォームでは付属のリテンションを使う。透明なピンに黒いピンを通して留めるだけなので、作業中にマザーボードを裏返す必要はない。

固定用のクリップはヒートシンクに取り付け済み

固定用のクリップはヒートシンクに取り付け済み。片方をリテンションに引っ掛けてから反対側を固定する。

メモリーと干渉しにくい

Contac Silent 12はヒートシンクが細身なため、メモリーと干渉しにくい。今回使用したマザーボードでも、メモリーの少し手前までに収まっている。

冷却性能と騒音値をテスト

CPUクーラーで気になるのは、やはり冷却性能と静音性だろう。上で紹介した3製品を実際に動作させ、CPU温度と騒音値を計測した。参考に、CPU付属クーラーもテストした。テストに使用したCore i7-7700KはCPUクーラーが付属しないため、他のモデルに付属していたクーラーを使用している。中央に銅芯の入っている、付属クーラーの中では高性能なタイプだ。

CPUの温度は室温などの環境によっても変化する。そのため、テスト結果はあくまで参考値としてとらえてほしい。今回テストした環境は以下の通りだ。

CPU Core i7-7700K
メモリー DDR4-2400 4GB×2
マザーボード SuperO C7Z270-CG
SSD Micron Technology Crucial MX300 275GB
PCケース Thermaltake Technology VIEW 31 TG
電源ユニット Thermaltake Technology TOUGHPOWER GRAND RGB 650W
OS Windows 10 Pro(Creators Update) 64ビット

室温は28.2℃、暗騒音は約35dB(A)。CPUの負荷には「OCCT 4.5.0」の「CPU:OCCT」テストを使用し、開始から約10分後の温度を採用した。CPU温度は「HWMonitor 1.31」の「Package」の値を使った。騒音は佐藤商事の騒音計「SD-23SD」をPCケース側面から30cmの距離に設置して計測した。PCケースの前後のファンは、CPU温度の測定時には動作させ、騒音値の測定時には停止させた。マザーボードのUEFIのファン動作モードは出荷時の「Quiet」を使用した。

今回使用したテスト用PC

今回使用したテスト用PC。5インチベイがないため内部が広く感じ、CPUクーラーの交換もしやすかった。

大型のCPUクーラーは高さが17cmを超えることもある

大型のCPUクーラーは高さが17cmを超えることもある。事前にPCケースが対応していることを確認しておこう。今回使用した「VIEW 31 TG」は18cmまで対応している。

冷却性能

CPU温度

アイドル時のCPU温度はほぼ横並び。負荷時はETS-T50AXE Blackが他より少し低く抑えられた。

「CPU:OCCT」のテストはかなり負荷が高く、CPU付属クーラーは4分半付近でテストが終了してしまった。CPU温度が93℃を超えた時点で終了する設定にしていたためだ。グラフには、記録に残っていた100℃を採用した。

今回紹介した3製品の間ではそれほど大きな温度差はなく、いずれも負荷時のCPU温度を65℃以内に抑えられた。他2モデルより若干小柄なContac Silent 12は健闘していると言えるだろう。ファンの回転数を落とすケーブルを使うと、やはり若干CPU温度は上がってしまうようだ。

また、テストでは大きな差は出なかったものの、CPUをオーバークロックするとさらに発熱量は増える。するとヒートシンクの大きなモデルや大口径のファンを搭載できるモデルが有利になる。

騒音値

騒音

アイドル時の騒音値が全て同じなのは、動作音が室内の騒音値より低いため。耳を澄ませば認識できる程度の音量だ。MasterAir Maker 8とケーブル使用時のContac Silent 12は負荷時もほとんど変わらなかった。

続いて騒音値だ。日中にテストしたこともあり、暗騒音(PCをシャットダウンした状態の騒音値)は35dB(A)と少し高め。騒音値の目安として図書館の中が40dB(A)とされており、決して騒がしい環境ではないが、それでもアイドル時はいずれのモデルも暗騒音と同等以下だった。

負荷時は、CPU付属クーラーの騒音値が高い。これは負荷時にファンの回転数が最大まで上がったことが原因だ。他のモデルはそこまでCPU温度が上がらなかったため、最大値から数百rpm低い回転数で動作していた。中でもMasterAir Maker 8は静かで、負荷時に耳を近づけてもほとんど聞こえないほど。Contac Silent 12も、ファンの回転数を落とすケーブルを使うと同じレベルまで静かになった。

今回はケースファンを止めて騒音値を計測している。ケースファンを動かすとそちらに紛れてしまい、各モデル間の差がなくなってしまうためだ。逆に言うと今回紹介したCPUクーラーは3製品ともそれだけ静かということだ。

いずれも性能は申し分なし、外見の好みで選んでもOK

最新のCPUクーラーを3製品見てきた。いずれも冷却性能、静音性ともCPU付属のクーラーより高く、十分な性能を備えている。装飾のないシンプルなモデルならContac Silent 12、様々な色で光るファンが好きならETS-T50AXE Black、大型でカスタマイズ性の高いモデルならMasterAir Maker 8とそれぞれに特徴があるため、好みに応じて選ぶとよいだろう。

(文・写真=SPOOL

※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

紹介製品はこちら

MasterAir Maker 8

製品の詳細

Cooler Master

MasterAir Maker 8

新技術の3Dベイパーチャンバーを採用。強力な冷却性能と高い静音性を両立したサイドフロー型CPUクーラー

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鮮やかなLEDイルミネーションと高い冷却性能を実現する多彩な機能を備えたサイドフロー型CPUクーラー

Contac Silent 12

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Thermaltake

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メモリとの干渉を防ぐスリムデザイン採用。優れた冷却性能と高い静音性を両立するサイドフロー型CPUクーラー

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