製品レポート

AUDEZE Mobiusゲーミングヘッドフォンの3Dオーディオを体験

ハイレゾ音源にも対応した初のゲーミングヘッドフォン

MobiusはハイエンドヘッドフォンメーカーであるAUDEZE社が、ゲーム体験の没入感を高めるために、臨場感あふれる3Dオーディオを生み出す高度な空間音響技術と、ハイエンドヘッドフォンメーカーらしく、同社の高級オーディオヘッドフォンに採用されている技術を採用し、ハイレゾ音源にも対応した初のゲーミングヘッドフォンだ。本体カラーはBlue、Copper、Carbon(Amazon専売)の3色のバリエーションがある。

最大の特徴はヘッドトラッキング技術を搭載し、頭の向きにかかわらず音源位置を固定する独自の3Dオーディオだ。また、さまざまなデバイスと接続できる豊富な接続端子を搭載しているので、PCゲームだけでなく、iOS端末やAndroid端末でのゲームプレイ、音楽や映画鑑賞などの用途で利用できる。

今回は同梱物を確認し、パソコンとUSB接続をしてサラウンド音声対応ゲームをプレイする。3Dヘッドトラッキングと3Dオーディオの効果を確認しよう。

AUDEZE Mobius

同梱物を確認

Mobiusにはヘッドフォン本体、パソコンやAndroid端末などと接続するUSBケーブル2種類、3.5mmミニプラグケーブル、ブームマイク、キャリングポーチ、マニュアルが付属している。Mobiusは充電池を内蔵しているが、USB充電器は別売りなので、本体充電を行うには市販のUSB充電器を購入するか、パソコンのUSBポートで充電する必要がある。約3時間の充電で最長10時間使用可能だ。

製品パッケージ
同梱物

落ち着いたシンプルなデザイン

Mobiusはゲーミングヘッドフォンとしては、全体的にコンパクトで、RGB照明は搭載されておらず、マットな質感のブラックがベースとなっている。一般的な密閉型オーバーヘッドフォンのデザインに近く、年齢性別はもちろん、ゲーミングヘッドフォンの派手なRGB照明が苦手という方でも利用できるシンプルなデザインだ。

形状記憶素材を使用したヘッドバンド部により、しっかりと装着できるので、長時間の使用はもちろん、ゲームプレイ中に頭の向きを変えてもずれることもない。イヤーパッドはしっかりと厚みがあり、合成皮革素材が採用されているので、長時間装着しても汗をかきにくく非常に快適だ。ハイエンドヘッドフォンメーカーが設計しただけあって、デザインや素材はとても素晴らしい。ただし、本体重量は350gと一般的なヘッドフォンに比べると重さが気になるかもしれないが、長時間使用しても首は疲れにくい。

ブームマイク非装着時

ブームマイク非装着時

ブームマイク装着時

ブームマイク装着時

豊富な接続端子と素早く操作できるボタンレイアウト

MobiusにはパソコンやiOS端末、Android端末など、さまざまなデバイスと接続できる3.5mmミニプラグ、USB、Bluetoothと豊富な接続端子を搭載している。各接続端子や音量調節のダイヤルなど、スイッチ類は全て左側に集約されており、ゲームプレイ中でも素早く音量調節やマイクのミュート操作が可能だ。ゲーミングに必須のマイクは、クリアな通話が可能な着脱式ブームマイクを採用しているので、音声通話を利用しない時は、マイクを外してしまえば邪魔にはならない。

インターフェース
インターフェース
インターフェース

パソコンとのUSBケーブル接続で7.1chサラウンドに対応

Mobiusにはさまざまな接続端子が搭載されているが、今回はUSBケーブルでパソコンと接続する。通常であれば、ゲームプレイ時にケーブルが邪魔にならないBluetooth接続を選択するが、Bluetooth接続では7.1ch サラウンド音声に対応しておらず、2chステレオ音声のみの対応になってしまう。2chステレオ音声でもMobiusが3Dオーディオに変換してくれるが、臨場感あふれるサラウンド音声に対応したゲームをプレイするなら、7.1chサラウンド音声に対応したUSB接続をお勧めする。付属のUSBケーブルを使用して接続すれば、パソコンがMobiusを自動認識してくれる。USBケーブル1本でパソコンと接続でき、長さが1.5mあるので、ゲームプレイ中に頭の向きを変えてもUSBケーブルは邪魔にならない。

パソコンと接続する

3Dヘッドトラッキング機能は、接続端子部分にある3Dボタンを押すと有効になる。3Dボタンを押すことでオート、マニュアル、オフと切り替えができ、切り替える度に音声ガイダンスが流れるので、選択を間違えることはないだろう。

パソコンと接続する

またゲームプレイにはあまり関係ないが、USB接続時にはパソコンのサウンドプロパティから96kHz・24bit・2ch音声に対応したハイレゾモードへ切り替えることが可能だ。ハイレゾ音源に対応しているゲーミングヘッドフォンは非常に少なく、Mobiusが音質にもこだわっていることがわかる機能だ。

サラウンドモード(48kHz・24Bit・7.1Ch)

サラウンドモード(48kHz・24Bit・7.1Ch)

ハイレゾモード(96kHz・24bit・2ch)

ハイレゾモード(96kHz・24bit・2ch)

3Dヘッドトラッキング技術と3Dオーディオ

実際にゲームをプレイする前に、Mobius最大の特徴である「Waves NX Technology」による、3Dヘッドトラッキング技術の3Dオーディオについて紹介しよう。これは「音像定位」、「総合ヘッドトラッキング」、「ルームエミュレーション」という、3つの特徴により「あたかも決まった位置から音がでているように、音像の位置を固定する」という技術だ。

音像定位

音像定位

頭の位置が変化した場合、音源を特定して位置を維持し頭の向きを反映させた上で音を再生する。

統合ヘッドトラッキング

統合ヘッドトラッキング

装着時の頭の向きを記憶した上で、1秒間に1000回の精度で頭の動きを追跡する。

ルームエミュレーション

ルームエミュレーション

空間感覚と室内の音の反射を作りだす。

例えば、自分の正面でアーティストが歌っているとイメージすると、頭が右を向いても、アーティストの歌っている位置は正面のまま変化しない。そのため、頭を右に向ければ、歌声は左耳から聴こえてくる。自分が頭の向きを変えても、アーティストの歌っている位置は常に固定されて聴こえるということだ。しかし、従来のサラウンドヘッドフォンでは、常に頭の向きが正面になる。頭が右を向けば右正面に、後ろに向ければ後ろ正面に歌っている位置が移動してしまい、実際にはいない位置から声が聴こえていた。

実際にMobiusの3Dヘッドトラッキング技術で音楽を聴いてみると、自分が頭の向きを変えても、アーティストの歌っている位置は常に固定されて聴こえる。正面を向いた状態では、通常左右からステレオで聴こえる歌声や楽器音が正面から聴こえる。右を向けばヘッドフォンの左右のバランスが変わり右側は小さく、左側から聴こえてくるようになる。後ろを向けば後ろ側から聴こえてくるように変化する。頭の向きを変えても、まるで実際にその場で聞いているような3Dオーディオが聴こえてくる。

PCゲームをプレイして3Dオーディオの効果を体感

3Dヘッドトラッキングと3Dオーディオの効果を、実際にPCゲームをプレイして確認しよう。今回は7.1chサラウンド音声を収録したPC版「Shadow of the Tomb Raider」をプレイした。

ゲームの没入感が高まるクリアな音質

プレイしてすぐに感じるのは、低域から高域まで全体的に淀みのないクリアな音質だ。人々や生物の喧騒、歩く音などの動作音、風や機械などの環境音とさまざまな種類の音が鳴っているシーンであっても、それぞれの音をしっかりと聴き分けることができる。「Shadow of the Tomb Raider」のようなプレイ中に会話シーンが多いゲームでは、周りの環境音やBGMにセリフが埋もれることなく聴き取れるかどうかで没入感が異なる。

またセリフ以外にも、低域から高域まで音色豊かに表現されるBGMも、ゲームの雰囲気をより盛り上げてくれる。サラウンドヘッドフォンというと、全体的に一音一音がぼやけた感じで、シーンによって環境音にセリフが埋もれて聴き取りづらく、プレイに集中できない印象がある。しかし、Mobiusは一人一人のセリフを聞き分けられる程非常にクリアな音質でゲームに集中できる。

音源位置や距離感をはっきり感じる3Dオーディオ

次に3Dオーディオだが、先程紹介した3Dヘッドトラッキング機能により、頭の向きやゲーム内のカメラ移動に合わせて音源位置が遅延なく表現されるので、現実とほぼ変わりのないサウンド体験が可能だ。例えば、右から近づいてくる足音に気が付いて右側にカメラ移動を行うと、足音が正面から聴こえてくるよう変化する。ジャングルの中で隠れている人物を探そうとあちこちカメラ移動をする場合、音のする方向にカメラを移動していけば目的の人物を見つけることが可能だ。

従来のサラウンドヘッドフォンでは、ゲーム画面に対して音源位置が正しく表現されなかったため、どうしてもゲーム画面内の位置情報を頼りにしていた場面でも、Mobiusの3Dオーディオなら現実のように周りの音を聴いて、音源位置や距離感など状況を判断することができる。FPSやTPSといったジャンルのゲームであれば、今までにない臨場感と没入感をもたらしてくれるだろう。

Audeze HQ アプリケーションでより個性的にカスタマイズ

Mobiusはパソコンへのドライバーインストールが不要で、そのままでも十分なサラウンド音響効果を体験できる。しかし、USB接続を行い「Audeze HQ アプリケーション」という設定プログラムを利用することで、DSP効果やルーム音響効果などを自分の好みに合わせてより細かく設定することが可能だ。最後に「Audeze HQ アプリケーション」について紹介しよう。

Audeze HQ アプリケーションを起動すると、画面左側には頭の外周寸法や右耳から左耳への距離、部屋の残響効果などDSP効果の調整画面、中央にはジャイロ効果のリアルタイム表示、ヘッドジェスチャー設定、右側に3Dオーディオの有効無効、3Dオーディオのセンタリング設定、バッテリー残量、マイク音量といったMobiusの情報が表示される。

Audeze HQ アプリケーション

Mobiusを装着して頭を動かすと、ジャイロ効果にあわせて3Dモデルもリアルタイムで表示が変化する。装着時の向きと3Dモデルの表示が異なる場合は、3D機能を再度有効にすることで、ジャイロ効果を再調整することができる。

Audeze HQ アプリケーション

画面上部にある「SOUND PROFILES」をクリックすると全8種類のEQプリセットを選択可能だ。FPSやレースといったプレイするゲームや、音楽鑑賞など用途に合わせて選択することで、それぞれの用途にあった迫力あるサウンドが簡単に楽しめる。 またEQプリセットの選択はMobiusの本体操作でも選択可能だ。

Audeze HQ アプリケーション

画面上部にある「FIRMWARE」をクリックすると、Mobiusのファームウェア更新が可能だ。ファームウェアを最新に保つことで、新しい機能の追加や動作に関する不具合が修正される。

Audeze HQ アプリケーション

まるで現実のような臨場感あふれるゲーム体験

今回は、Mobiusの3Dオーディオ効果を存分に堪能できる、サラウンド音声に対応したPCゲームをプレイした。

セリフや環境音をはじめ、BGMが非常に聴き取りやすいクリアな音質と、音源位置が固定された3Dオーディオでプレイしたゲームはより現実に近く、とても臨場感あふれる体験ができた。PCゲームをプレイする方には、ぜひともMobiusの3Dオーディオを体験して欲しい。

また、豊富な接続端子によりPCゲームだけでなく、PS4やNintendo Switchを始めとしたゲーム機、スマートフォンやタブレットなど、機器を選ばず迫力あるサウンドが楽しめるMobiusは、おすすめのゲーミングヘッドフォンだ。

※ PS4、Nintendo SwitchとのUSB接続はMobius本体ファームウェアV3以降で対応します。

(文・写真=株式会社アスク)

※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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