製品レポート

イラストや文字を手書きで入力!XPPenのペンタブレットを使ってみよう【前編】

基本となるペンタブレットの種類や仕組みを解説

パソコンならマウスとキーボード、スマートフォンやタブレットならタッチ操作が入力の基本だ。しかし、どれだけ技術が発展しても、ペンで手書きしたものには独特の良さがある。作業の内容によってはマウスよりもペンの方が適している場合もあり、パソコンやスマートフォン、タブレットにペンで手書き入力したいというニーズを持っている人は多い。

ただ、ペン入力には様々な種類があり、気になっているものの違いや選び方が分からないという人もいるだろう。そこで、今回はXPPenのペンタブレットを紹介する。

XPPenのペンタブレットを使ってみよう【前編】

ペンタブレットの種類と仕組み

ディスプレイのあるなしで使い勝手が大きく変わる

製品を紹介する前に、ペンタブレットの種類を確認していこう。ペンタブレットは大きく分けて、ペン入力の機能だけを備えたタブレット(「板タブ」と呼ぶ)とディスプレイを備えた「液晶タブレット(液タブ)」に分けられる。

ペン入力の機能だけを備えたタブレット

ディスプレイを備えた液晶タブレット

左が板タブ、右が液タブ。違いは本体にディスプレイが付いているかどうかだ。液タブの方が直接書いている感覚が大きい。

両者の違いは操作エリアにディスプレイ表示があるかどうかだ。液タブは画面に直接ペンで入力できるため、直観的に使いやすい点がメリット。一方、本体にディスプレイを搭載しているため、製品価格は高い傾向にある。またパソコン等と接続する際に映像とデータを転送する必要があるため使用するケーブルが増え、動作に別途電源ケーブルが必要になるなど設置環境を選ぶ。板タブなら接続はケーブル1本またはBluetoothで済み、ACアダプターによる電力供給は基本的に不要だ。

タブレットPCなどでペン入力するのと何が違うのかという疑問を持つ人もいるだろう。ペンタブレットはあくまでペン入力の機能を追加するための周辺機器で、PCとしての機能は持たない。専用のデジタルペンが付属する2in1 PCやタブレットPCでは、ペン入力機能に関しては液タブと変わらないことも多い。

タッチ操作に対応したノートPCなら、ペン入力への対応がうたわれていなくても、100円均一ショップで販売されているスタイラスペンでペン入力はできる。しかし、これはペンタブレットとは大きく異なり、指の代わりにペン先でタッチ操作しているだけだ。線を引くだけであればこれでもOKだが、筆圧や傾きを検知するなどペンタブレットならではの機能を使うことはできない。

ペンの仕組みも色々

ペンの仕組みも簡単に解説しよう。製品選びの際にも参考になる。

ペンには大きく分けて3種類ある。「EMR(電磁誘導)方式」、「AES(アクティブ静電容量)方式」、「Apple Pen」だ。Apple Penは「iPad」などApple製品でしか使われていないため除外すると、現在販売されているペンはEMR方式とAES方式の2種類に分けられる。おおまかに言うと、ペン側にバッテリーが不要な製品がEMR方式、バッテリーが必要な製品がAES方式だ。

EMR方式の模式図

EMR方式の模式図。液晶ディスプレイの下にセンサーのシートが配置される。静電容量センサーはタッチ操作に対応させるなら必要だが、ペン入力だけなら不要だ。タッチ操作だけを無効にするといった設定もできる。

AES方式の模式図

AES方式の模式図。静電容量センサーはタッチ操作用と共通のため、コストが安くなる。快適に使うには、ペン入力中はタッチ操作を無効にする機能などを使う必要がある。

EMR方式はバッテリーが不要なため扱いやすいが、液晶パネルの内側に専用のセンサーが必要になる。そのため入力にはペンが必須で、指での入力はできない。手が触れて誤操作を起こす心配がないため、これはペンタブレットとしてはメリットでもある。センサーが必要な分、ペンタブレット本体の価格は高めな傾向だ。

AES方式はタッチ対応液晶と同じ静電容量センサーが使えるため、タッチ操作とペン入力の両方に対応する製品で採用しやすい。EMR方式よりも製品価格は安くなる傾向だが、ペンにバッテリーが必要な点は弱点と言える。また、タッチ操作とペン入力を同じセンサーで認識するため、ペン入力の際に手を付いた時に無視する「パームリジェクション」機能の有無や精度が重要になる。

EMR方式、AES方式は共にペンによる入力を検知するための仕組みで、動作させるにはソフト上の仕組み(プロトコル)も必要だ。端末に付属するペンがその端末専用となっている場合は、プロトコルが独自仕様である可能性が高い。同じメーカーのペンでも対応製品が分かれるのが一般的で、複数の機器でペンを使い回したい場合は対応状況にかなり注意が必要となる。マイクロソフトの「MPP」、Googleの「USI」など汎用プロトコルも登場しており、使い回しが不可能なわけではない。

ペンタブレットのメリット

直観的な操作ができる

ペンでの操作には「絶対座標」と「相対座標」の2種類がある。絶対座標はディスプレイの表示エリアとタブレットの操作エリアの座標を一致させる方式。中央をペンでタッチすれば中央に、端をタッチすれば端に入力したことになる。相対座標はマウスと同じ方式で、線を引くようにペンを動かすとそれに合わせてマウスポインターが動く。

板タブの場合、ディスプレイの画面サイズとタブレットの操作エリアの広さが一致することはまずない。ディスプレイの方が広い場合は、絶対座標では細かな操作がしにくくなる。液タブではディスプレイがそのまま操作エリアになるため、絶対座標で見た目そのままの入力が可能だ。

板タブはマウスの代わりに使うような感覚

板タブはマウスの代わりに使うような感覚。ペンでドラッグすることでマウスポインターを動かす動作モードもある。絶対座標はマウスポインターを瞬間移動させるようなイメージだ。

液タブは直接画面に書き込めるのがメリット

液タブは直接画面に書き込めるのがメリット。液タブ側のディスプレイは外部ディスプレイとして認識されるので、PCの画面をミラーリングしても良いし、2台目のディスプレイとしてデスクトップを拡張しても良い。

言うまでもなく、ペン入力のメリットはアナログ風な方法でPCやタブレット等を操作できるという点だ。代表的な用途はイラストや漫画など絵を描く作業だろう。手描きの曲線をマウスで再現するのは難しい。他にも資料に丸を付ける、下線を引く、メモを書くといった使い方はイメージしやすい。「ペン先を滑らせると線を引ける」というのは非常に直観的で、分かりやすい。

また、それだけでなく画像処理や動画編集などクリエイティブな作業を行う人の間でもペンタブレットは普及している。例えば画像処理のパス切り(目的の物だけ範囲選択すること)はペンタブレットを使った方が細かな指定をしやすくなる。動画編集でも素材の操作やパス切りなどで活躍する。3Dモデルの制作でも、細かくポイント指定と調整を繰り返す作業はマウスよりもやりやすく、手首への負担も少ない。

豊富なショートカットキーも特徴だ。目の前にペンタブレットを置くとキーボードは遠くなる。手を伸ばして操作しなくても済むように、ペンタブレットの端にはショートカットキーやダイヤルキーを備えていることが多い。もちろん各キーは付属ソフトで機能を変更できるので、使いやすいようにカスタマイズできる。

XPPenとは?

日本市場で第2位のペンタブレットメーカー

XPPenは1998年に中国で設立されたugeeがベースとなっている会社だ。XPPenは2005年に日本で設立されたブランドで、買収や合併などを経て現在はHanvon Ugee Technologyのブランドとなっている。アメリカにも子会社のXPPEN TECHNOLOGYがある。

液晶タブレットの「Artist」シリーズや「Innovator」シリーズ、板タブレットの「Deco」シリーズや「Star」シリーズなど多数のラインアップを備え、機能や品質の割に低価格であることを売りに人気を得ている。

多彩なラインアップ

板タブや液タブ、有線や無線、小型から大型、など、多彩なラインアップが特徴。入力エリアのサイズやショートカットキーの数など色々な条件で製品を探せる。

調査会社BCNの「BCNアワード 2022」のペンタブレット部門によると、XPPenの2021年の市場シェアは5.2%で2位。日本国内では伝統的にワコム1強の市場だが、3年連続で2位となっているのがXPPenだ。

次回は製品と選び方のポイントを紹介する。

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(文・写真=SPOOL

※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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