製品レポート

身近なのに複雑怪奇、USB規格のおさらい【第1回】基礎知識編

きちんと理解するのは難しいUSB規格をご紹介

PCやスマートフォンを使う上で、USBというインターフェース規格は必要不可欠なものになった。しかし、USBはデータ転送速度や機能、端子・ケーブルの種類など非常に多くの種類があり、きちんと理解するのは大変だ。今回はその複雑なUSBの規格を整理する。

USBは「Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)」の略称。規格は「USB Implementers Forum(USB-IF)」で策定されており、Webサイトでは規格に関する情報が公開されている(一部は関係者のみ閲覧可能)。

USBの強みは後方互換性だ。基本的に新しいバージョンが出ても古いバージョンの機器が使えなくなることはない。「機器をつないで使える」ということは当たり前のようだが、移り変わりの激しいPC業界で、20年も前の機器を最新PCにつないで使えるのは驚異的と言える。ただ、表裏の関係ではあるものの、弱みとなってしまうのはその複雑さだ。バージョンごとに機能や速度の仕様を新しく追加し、オプション仕様(必須機能ではなく機器によって対応/非対応が分かれること)も増やしたことにより、バージョン名や端子の形状を見てもどの速度・機能に対応しているのかが分かりにくくなってしまった。

その結果、現在のUSBは簡単さと難しさが同居した規格になったと言って良いだろう。正しく性能を引き出すには正しい組み合わせで使う必要がある。1つずつ見て行こう。

身近なのに複雑怪奇、USB規格のおさらい【第1回】基礎知識編

バージョン名とデータ転送速度

呼び方が混在しており、複雑

まず重要な要素がデータ転送速度だ。PCと周辺機器、それらをつなぐケーブルが全て対応して初めて本来の速度が得られる。しかし、それぞれの対応する速度を確認するのは思いのほか大変だ。速度はバージョンと共に向上してきたため、併せて見ていこう。

2026年現在で使われているUSBの速度は480Mbps、5Gbps、10Gbps、20Gbps、40Gbps、80Gbpsの6種類。一方バージョンは2.0、3.2、4の3種類だ。以下の表に速度とバージョン名の関係をまとめた。なお、USB 2.0とUSB 3.xは数字の前にスペースを入れるが、USB4はくっつけるのが正しい表記だ。

データ転送速度 バージョン名
480Mbps USB 2.0
5Gbps USB 3.0(3.1 Gen 1、3.2 Gen 1)
10Gbps USB 3.1 Gen 2(3.2 Gen 2)
20Gbps USB 3.2 Gen 2x2
20Gbps USB4 Gen 2x2
40Gbps USB4 Gen 3x2
80Gbps USB4 Gen 4x2

基本的にUSBの速度とバージョン名は対応する。USB 3.1以降は「Gen x」、3.2以降は「x2」の表記が追加されているのが特徴だ。

途中からバージョン名が長くなっているのは、USB 3.1で速度を表す「Gen x」、USB 3.2で「デュアルレーン」を表す「x2」の表記が追加されたためだ。手前の数字に関わらず「Gen 1」が5Gbps、「Gen 2」が10Gbpsとなるため、覚えておくとPCや周辺機器のスペック表を読みやすくなる。

デュアルレーンは両端がUSB Type-C端子のケーブルで使える高速転送モードで、最大速度が2倍になる。規格上はGen 1x2(10Gbps)も存在するが、対応製品はない。

USB4はThunderbolt 3の技術をベースに作られた規格で、厳密には異なるものの、高い互換性を備えている。USB4には「Thunderbolt 3互換モード」が定義されており、オプション仕様だが基本的に対応しているためだ。ThunderboltとUSB4の関係は第3回で解説する。

バージョン名以外の呼び方もある

USB 3.xではバージョン名が細かくアップデートされて分かりにくくなった。そのためUSB-IFは下の表のように速度を基準にした名称を策定し、こちらが一般ユーザー向けの呼び方だとしている。ただ、パソコンのスペック表などでこの表記が使われることは少ない。USBはバージョン名で呼ぶ習慣があることや、USB 2.0もまだ現役で使われているのに新しい名称が付けられなかったことなどが原因だろう。

データ転送速度 マーケティングネーム 旧称
480Mbps Hi-Speed USB Hi-Speed USB
5Gbps USB 5Gbps SuperSpeed USB 5Gbps(SuperSpeed)
10Gbps USB 10Gbps SuperSpeed USB 10Gbps(SuperSpeedPlus)
20Gbps USB 20Gbps SuperSpeed USB 20Gbps
USB4 20Gbps
40Gbps USB 40Gbps USB 40Gbps
80Gbps USB 80Gbps

USB-IFは一般ユーザー向けの名称として「マーケティングネーム」を策定している。ただ、これも度々改定されており、完全に浸透しているとは言い難い。最新のものは「USB+速度」の組み合わせを使い、バージョン名を記載しないようになっている。かつてはGen 1とGen 2を合わせて「Enhanced SuperSpeed」という呼び方も使っていた。「Hi-Speed USB」はUSB 2.0が登場した頃から使っている呼び方だ。

呼び方が増えて余計に複雑になっているようにも見えるが、名称に速度が含まれるため、そこは分かりやすい。

ロゴも用意されている

パソコンや周辺機器の対応する速度が分かりやすいよう、USBはロゴもさまざまなものが用意されている。

USBロゴ

USB-IFの公開しているロゴの使用ガイドからの引用。最新版ではロゴにも数字が入るようになり、対応する転送速度が見た目で分かりやすくなっている。

黒一色のロゴはPCの端子の横に印字されていることもある。ただし、端子付近のロゴはないことも多く、判別手段としてはあまり頼りにならない。

端子とケーブルを理解しよう

端子も種類が多い

USBはケーブルの種類が多いことも特徴だ。PCケースの内部ケーブルも併せて見て行こう。ケーブルの種類が多いのは、単純に端子の種類が多いからだ。まず端子の種類と分類をType、対応速度、サイズの3要素でまとめよう。

USB端子には多くのバリエーションがあるが、Type-AとType-B、Type-Cの3種類に分類できる。Type-Cは次回詳しく解説するとして、ここではType-AとType-Bを見ていく。

ちなみにType-A、Type-Bという呼び方は正式なものではない。しかしType-Cの登場以降、PCメーカーや周辺機器メーカーも使うようになり、デファクトスタンダードとなっている。

Type-A端子

Type-A端子

左がメス側、右がオス側の端子。ともにUSB 2.0用だ。規格では、メス側は「レセプタクル」、オス側は「プラグ」と呼ぶ。

Type-B端子

Type-B端子

左がレセプタクル、右がプラグ。こちらもUSB 2.0用。明確に異なる形状の端子を使うことで、間違いを防ぐ目的だった。

今では曖昧になっているが、もともとUSBは機器の役割が親機(ホスト)と子機(デバイス)ではっきりと分かれている。そしてType-A端子はホスト側、Type-B端子はデバイス側につなぐことを分かりやすく示すものだった。この原則は今でも変わっていない。

事情が怪しくなったのは、スマートフォンに代表されるようなホストにもデバイスにもなる機器が登場したためだ。スマートフォンにUSBメモリーをつなぐと(対応していれば)スマートフォンはホストとなり、USBメモリー内のデータにアクセスできる。一方、PCにつないだ場合はスマートフォンはデバイス(外部ストレージ)となり、PCからスマートフォン内のデータにアクセスできる。こうした事情からUSB Type-Cではホストとデバイスの判別を機器側で行うようになり、端子の区別がなくなった。

対応速度と端子サイズ

対応するデータ転送速度は端子とケーブルの長さで決まる。ここでは端子の形状とサイズを見て行こう。

USB端子にはサイズの違いでStandard、Mini、Microの3種類があり、それぞれ「Standard-A/B」、「Mini-A/B」、「Micro-A/B」などと呼ぶ。Standard-A/Bが仕様書でも利用されている名称で、通常サイズを表す。現在、Type-A/B端子と言えばStandard-A/B端子を指す。

ただ、初期のUSBのホストはほとんどがPCだったため、使われるのはType-AばかりでMini-AとMicro-Aはほとんど使われなかった。長くPCを使っていても見たことがない人の方が多いだろう。Mini-BとMicro-Bは広く普及し、Micro-Bは今でも現役だ。

Mini-B端子

Mini-B端子

ピン数が5本になっているが、標準仕様では1本結線されず、追加の機能はない。USB 3.x用の端子は作られなかったためUSB 2.0専用だ。現在はほとんど使われていない。

Micro-B端子

Micro-B端子

本来の用途を越えてさまざまな機器で使われ、未だに採用製品の多い小型端子。別途USB 3.x用の端子がある。

スマートフォンのようにホストとデバイスのどちらにもなれる機能を「OTG(On The Go)」と呼ぶ。USB 2.0端子は信号ピンが2本、電源ピンが2本で合計4本のピンで構成されているが、Micro端子にはOTGへの対応を示すための5本目のピンが追加されている。

OTG対応のメス端子はMicro-ABという名称だが、本来使われるはずだったこの端子は普及せず、代わりにMicro-B端子を使っているケースがほとんどだ。

USB 3.xでピン数が増え、Type-B端子は大型化

速度による端子のバリエーションはUSB 2.0とUSB 3.xの2種類。USB 3.xには5Gbps、10Gbps、20Gbpsと3種類の速度があり、5Gbpsと10GbpsはUSB 3.x端子を使う。20GbpsはUSB 3.x対応のType-C端子でのみ使える。USB 3.x対応のType-C端子は5Gbpsと10Gbpsも利用できるため、上位互換と考えてよいだろう。

USB 3.x端子のピンは9本あり、USB 2.0の4本から5本増えている。この追加分を同じサイズの端子に収めているのはType-A端子だけで、Type-B端子やMicro-B端子は形状が変わっている。Mini端子にはUSB 3.xの仕様はない。

USB 3.x用Type-A端子の内部

USB 3.x用Type-A端子の内部

写真はプラグ端子の内部。先端側にUSB 2.0、奥側にUSB 3.x用のピンがあるのが分かる。

USB 3.x用Type-B端子

USB 3.x用Type-B端子

Type-B端子はUSB 3.x用のピンが上側に増設されており、端子形状が全く別物になっている。

USB 3.x用Micro-B端子

USB 3.x用Micro-B端子

Micro-B端子は隣にUSB 3.x用のピンが増設されている。端子のUSB 2.0側にUSB 2.0用ケーブルをつなぐことは可能だが、機器が動作するかは製品次第だ。

USB 3.x対応端子は青色にすることが推奨されている

USB 3.x対応端子は青色にすることが推奨されている。例外はあるものの、青い端子の多くがUSB 3.x対応だ。

Gen 1(5Gbps)とGen 2(10Gbps)は同じ端子を使い、ケーブルは厳密に区別されていない。Gen 2対応をうたったケーブルは当然10Gbpsで通信できるが、Gen 1対応ケーブルでも10Gbpsで通信できる場合がある。参考になるのはケーブルの長さだ。おおむね1m以下であれば、10Gbpsで通信できる可能性が高い。

USB-IFの公開しているUSB Type-Cの仕様書からの引用

USB-IFの公開しているUSB Type-Cの仕様書からの引用。「Cable Length」が目安のケーブル長だ。USB 3.2 Gen 2は1m以下となっている。ただし注釈で「informative(参考)」となっており、厳密に決まっているわけではない。また、USB Type-C以外のケーブルには長さを直接定めた規定はない。

内部端子は3種類

自作PCではPC内部用のケーブルも使う。主にPCケースの前面端子とマザーボードを接続するためのケーブルだ。この内部端子にはUSB 2.0用とUSB 3.x用、そしてUSB Type-C用の3種類がある。

内部配線ではケーブルの長さの問題がより深刻になる。PCと周辺機器をつなぐケーブルに前面端子とマザーボードの間のケーブルが加わり、ケーブル長が伸びてしまうためだ。そのため、自作用PCケースの前面端子はUSB 3.x Gen 1に留まることも多い。

USB 2.0用の内部端子

USB 2.0用の内部端子

USB 2.0用の内部端子。1個の端子で前面のUSB端子を2個接続できる。

USB 3.x用の内部端子

USB 3.x用の内部端子

USB 3.x用の内部端子。こちらも1個で2個の前面端子に接続できる。最大速度は5Gbps。

USB Type-C用の内部端子

USB Type-C用の内部端子

前面端子がUSB Type-Cの場合に利用する内部端子。これは「Key A」と呼ぶタイプで、1個につき前面端子1個に対応する。Type-Aの前面端子にも使えるが、その場合も対応する端子は1個のためほぼ使われない。

高速伝送に対応するケーブルはUSB Type-Cへ移行

ケーブルの長さも重要

今回はUSB規格のデータ転送速度とケーブル・端子について見てきた。ここまでをまとめたのが以下の表だ。USB機器の本来の速度を引き出すには、機器の対応するバージョンを合わせることと正しいケーブルを使うことが重要になる。端子の形状は合っていても長さで速度が出ないこともある点は注意が必要だ。

特に10Gbps以上に対応した機器は、接続先の機器が5Gbpsまでしか対応していなかったり、旧規格のケーブルを使うと明確に遅くなる。購入した外付けSSDなどが思ったより遅いと感じたなら、ケーブルや接続端子の仕様を確認するとよい。製品を買った際に付属品を使わず、手持ちのUSBケーブルで代用した経験は多くの人が持っているだろう。トラブルを避けるには、ケーブルの使い回しはしないのがベストだ。

データ転送速度 バージョン名 マーケティングネーム(旧称) ケーブル
12Mbps USB 1.0 / 1.1 USB 1.0 / 1.1 現在は使われていない。
480Mbps USB 2.0 Hi-Speed USB USB 2.0
5Gbps USB 3.0 / 3.1 Gen 1 / 3.2 Gen 1 USB 5Gbps
(SuperSpeed USB 5Gbps、SuperSpeed)
USB 3.x
10Gbps USB 3.1 Gen 2 / 3.2 Gen 2 USB 10Gbps
(SuperSpeed USB 10Gbps、SuperSpeedPlus)
USB 3.x(1m以下)
20Gbps USB 3.2 Gen2x2 USB 20Gbps
(SuperSpeed USB 20Gbps)
USB 3.x Type-C(1m以下)
20Gbps USB4 Gen 2x2 USB 20Gbps
(USB4 20Gbps)
USB4 Type-C(2m以下)
40Gbps USB4 Gen 3x2 USB 40Gbps
(USB4 40Gbps)
USB4 Type-C(80cm以下)
80Gbps USB4 Gen 4x2 USB 80Gbps USB4 Type-C(80cm以下)

ここまでの話を表にまとめた。基本的には、最大データ転送速度とバージョン名の法則を覚えておけば混乱することはないだろう。マーケティングネームは分かりやすいが、内部的に異なる仕様のUSB 3.2 Gen 2x2とUSB4 Gen 2x2が「USB 20Gbps」でまとめられてしまっている点は注意が必要だ。

次回はUSB Type-Cについてもう少し詳しく紹介する。

USB Type-C編を見る

(文・写真=株式会社アスク)

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