製品レポート

拡張スロットにSSDを増設できる「Velocity Solo」

拡張スロットにSSDを増設できる「Velocity Solo」

Velocity Solo製品画像

Apricorn

Velocity Solo

型番:VEL-SOLO

接続インターフェース:PCI Express 2.0 x1

搭載ポート:SATA3×1

付属品:Apricorn Velocity Solo本体,Software Download,クイックスタードガイド(英語版)

JANコード:4537694137430

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SSD増設時の二つの悩みを解決

高速化が進み、価格もこなれてきたSSD。高速モデルなら順次読み出しが500MB/秒を超える場合もあり、HDDとの差は開く一方だ。ただ、興味はあってもなかなか手を出せないでいる人もいるだろう。

導入のハードルとなるのは、主にインターフェースと固定方法の2つ。PC側のSerial ATAポートが6Gbpsに対応していないと、最新のSSDは本来の速度が得られない。また、ほとんどのSSDは2.5インチHDDと同じ大きさのため、PC側にも2.5インチベイが必要だ。3.5インチベイに取り付けるためのマウンターもあるが、手間もかかるし,PCケースによっては利用できない場合もある。

そんな心配を解消する製品が登場した。Apricornの「Velocity Solo」だ。PCにPCI Express 2.0 x1スロットがあれば、SSDを増設できる。実勢価格は5000円。

Velocity Soloは2.5インチドライブを搭載できる拡張ボードだ。接続はPCI Express 2.0 x1接続で,基板の長さは12.5mm。Serial ATA 6Gbps対応のコントローラーチップ「88SE9125」(Marvell Technology Group)を搭載し、基板に2.5インチドライブを1台固定できる。基板上の信号コネクターと電源コネクターに直接つなぐので、ケーブル配線が必要無い点もメリットだ。PCI Express x1スロットはバージョンが2.0のスロットでないと、転送速度が落ちてしまうので注意。

ボード上のSATAコネクター

基板上にSerial ATAの信号用と電源用のコネクターがある。PCI Expressスロットから給電するため、外部電源コネクターは不要。

増設用のSATAコネクター

基板端にはSerial ATAポートを1個備える。もう1台HDDを/SSDをつなげられるが、そのドライブには別途給電する必要がある。

Marvell製コントローラーチップ

基板裏にあるSerial ATA 6Gbps対応のコントローラーチップ「88SE9125」(Marvell Technology Group)。HDD/SSDを2台まで接続可能だ。

SSDを取り付けた状態

SSDを取り付けたところ。基板の大きさはSSDより一回り大きい程度だ。

6Gbps対応のSSDを接続する新しい選択肢に

順次読み出しが500MB/秒を超える高速なSSD「Agility 60GB」(OCZ Technology)をVelocity Soloに取り付け、速度を測った。そこで、比較のため3Gbps対応ポート、マザーボードの外部コントローラー(88SE9128、Marvell Technology Group)のポートでもテストした。

テスト環境は6Gbps対応ポートを持つIntel Z68チップセットのマザーボードを用いているが、本製品は6Gbps対応ポートを持つマザーボードを使用するユーザーよりも3Gbps対応ポートしか持たないマザーボードで6Gbps対応SSD/HDDを使うのが主な使い方となるだろう。そこで比較対象は上記パターンとしている。

使用したベンチマークテストは「CrystalDiskMark 3.0.1b」(ひよひよ氏作)と「ATTO Disk Benchmark 2.47」(ATTO Technology)の2種類だ。CrystalDiskMarkはテストデータを「All 0x00(0 fill)」に設定して測定した。最高速度がより速かったためだ。順次読み出しと順次書き込みのテスト結果を採用した。ATTO Disk Benchmarkは「Total Length」を「2GB」に、「Queue Depth」を「10」に設定し、テストデータ「8192.0」の値を採用した。

ベンチマーク環境
マザーボード Z68A-GD80(G3)(MSI)
CPU Core i7-2500K(3.3GHz)
メモリー DDR3-1333 4GB×2
起動ドライブ WD20EARS(2TB、Western Digital)
OS Windows 7 Ultimate SP1 64ビット日本語版

CrystalDiskMark結果

CrystalDiskMark 3.0.1bの結果。順次読み出しのスコアはチップセットのSerial ATA 3Gbpsポートの3割増し程度だった。

ATTO Disk Benchmark結果

ATTO Disk Benchmarkの結果。CrystalDiskMarkより少し高い数値が出る傾向がある。傾向はほぼ同じ。「Velocity Solo」を含め、Marvell製コントローラに接続した場合には書き込みが落ち込んだ。

Velocity SoloにSSDをつないだときのCrystalDiskMarkの順次読み出しは348.4MB/秒。チップセットのSerial ATAコネクター 3Gbpsでつないだときの267.3MB/秒より格段に速い。一方で、書き込みでは速度が大幅に落ち込み、3Gbps接続時よりも遅くなってしまった。ATTO Disk Benchmarkでも同じ傾向だ。

ただ、マザーボード上のMarvell製コントローラーにつないだ場合もほぼ同じの速度だったため、コントローラーの特性の可能性がある。

使っているPCがSerial ATA 6Gbpsポートを備えているなら、そちらにつないだ方が手軽だ。ただ順次読み出しは300MB/秒を超えており、普及めざましい6Gbps対応SSDを3Gbpsポートに接続するより高速な転送速度を手に入れられる。6Gbpsポートが無いPCなら十分アップグレードとなる。

また、ボードに直接SSDを取り付けられるため、信号/電源ケーブルの配線がいらない点も魅力だ。小型のPCケースを使う場合にも有効となるだろう。


(文・写真=SPOOL

※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

●Apricorn社 概要
Apricorn Inc.は、米国に本社を置くストレージベンダーで、PCIeストレージや指紋認証ストレージ、暗証番号認証ストレージなど他にないユニークな製品をリリースしています。
メーカーウェブサイト:http://www.apricorn.com/

製品に関するお問い合わせや詳細情報については下記リンクをご確認ください。

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