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数世代前のGPUのユーザーはまだまだ多い
同じグラフィックボードを長く使い続けている人は多い。1世代どころか、2世代や3世代前のGPUを搭載したグラフィックボードを使っている人もまだまだたくさんいる。最新世代のグラフィックボードに乗り換えれば当然性能は上がるだろうが、世代が離れてしまうとどの程度効果があるのかピンとこないという人も多いのではないだろうか。
今回は、NVIDIAによるテスト結果を使用し、ミドルクラスで当時の売れ筋だったGeForce RTX 2060(以下、RTX 2060)とGeForce RTX 3060(以下、RTX 3060)から現役世代のGeForce RTX 5060 Ti(以下、RTX 5060 Ti)に乗り換えた場合、どの程度のパフォーマンスアップが図れるかを見ていこう。
純粋な処理性能だけでなく、機能も活用して数倍ものパフォーマンスアップを実現
GPUの世代が新しくなると、新しいアーキテクチャの採用や、動作クロック、キャッシュ構成、演算コアなどの改良によって性能が向上する。そのため、以前は純粋な描画能力が主な性能比較の指標となっていた。しかし、GeForce RTXシリーズは世代を追うごとに機能面でも大きく進化しており、描画性能だけでは性能や魅力を語れなくなっている。まずはその機能を紹介する。
「DLSS」と「Tensorコア」、「RTコア」がパフォーマンスアップのカギ
今どきのゲームにおけるパフォーマンスは、GPUの描画性能だけではなく、描画をサポートする機能によっても大きく影響を受ける。GeForce RTX 20シリーズの時代に登場した「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」にゲームのフレームレートを向上させる機能があるためだ。ゲーム側の対応が必要なため、あらゆるタイトルで有効というわけではないが、描画負荷の高い大型タイトルは多くの場合対応している。
「DLSS」の処理はGeForce RTXシリーズが搭載している「Tensorコア」が主に担当する。「Tensorコア」はGPUの世代が新しくなるごとに進化し、それに合わせて「DLSS」も機能を追加してきた。そのため、新しいGPUを使うことは、利用できる「DLSS」の機能が増えることにつながる。同じ機能が使えても、新しい世代のGPUの方がパフォーマンスが出やすいというケースもある。
| GPUの世代 | 機能 |
|---|---|
| GeForce RTX 50シリーズ | 超解像、フレーム生成、マルチフレーム生成、ダイナミックマルチフレーム生成 |
| GeForce RTX 40シリーズ | 超解像、フレーム生成 |
| GeForce RTX 30シリーズ | 超解像 |
| GeForce RTX 20シリーズ | 超解像 |
GPUの世代と対応する「DLSS」の機能の対応表
「DLSS」のうち、ゲームのフレームレートを引き上げられる機能とそれに対応するGPUの世代をまとめた。マルチフレーム生成とダイナミックマルチフレーム生成を利用できるのはGeForce RTX 50シリーズのみだ。GeForce RTX 20シリーズと30シリーズはフレーム生成を利用できず、超解像のみとなっている。
超解像とフレーム生成でフレームレートが向上
「DLSS」の超解像は、ゲームの設定よりも低い解像度で画面を描画し、AIで高画質化を施しながら本来の解像度へ変換するという機能だ。解像度を低くしたぶん描画負荷が下がり、フレームレートが向上する。この機能による遅延も少ない。ただし、フレーム生成と比べるとフレームレートの向上は控えめだ。
超解像利用時の比較映像
フレーム生成は、連続するフレームとゲームエンジンのモーションベクトル、GPUが解析した動きの情報などをAIで処理し、レンダリングされたフレームの間に新しいフレームを生成する機能。フレームレートが大幅に上がり、映像が滑らかになるのがメリットだ。
「DLSS Multi Frame Generation(マルチフレーム生成)」は、レンダリングされたフレーム1枚につき複数のフレームをAIで生成し、フレームレートをさらに高める機能だ。「DLSS 4.5」で追加された「DLSS Dynamic Multi Frame Generation(ダイナミックマルチフレーム生成)」は、目標のフレームレートを決める動作モード。マルチフレーム生成では生成するフレームの数が固定なのに対し、こちらは動的に変化する。NVIDIAアプリで設定した目標フレームレートやディスプレイのリフレッシュレートに合わせて生成倍率が変化し、フレームレート、画質、応答性のバランスを最適化できる。
ダイナミックマルチフレーム生成利用時の映像
フレーム生成機能はフレームレートの上昇度合いは大きいが、遅延(操作が画面に反映されるまでの時間)が少し大きくなるという特性があり、どんな利用シーンにも適しているわけではない。遅延はNVIDIAの「Reflex 2」テクノロジーを併用することで軽減できるが、完全になくすことは困難だ。そのため、eスポーツタイトルなど、瞬時の反応が必要な競技性の高いゲームでは対応していないこともある。一方、そこまでシビアな入力が求められないRPGやシミュレーションゲームなどではメリットが大きい。
「DLSS」は2026年1月時点で800以上のゲームタイトルに対応しており、さらに増え続けている。「DLSS 4」に対応するタイトルだけでも250本を超えているため、ゲーマーなら利用できるシーンは多いだろう。
実際のゲームでも大きな効果
実際のテスト結果が下のグラフだ。「DLSS」の機能はゲームタイトルによって対応しているものとしていないものがあるため、結果には幅があるが、どのタイトルも交換の効果は大きいことが分かる。対応している機能は利用するという形のテストのため、同じ条件による性能比較ではない点は注意してほしい。
「DLSS」なしでも1.5倍以上のフレームレートに
1440p最高設定、対応している場合はパストレーシングまたはRT Max。50、30、20シリーズでは超解像度(クオリティモード)。50シリーズではマルチフレーム生成(4Xモード)。AMD Ryzen™ 7 9800X3D、ASUS PROART X870E-CREATOR、64GB DDR5。テストはNVIDIAのラボによるもの。
「Apex Legends」と「Counter-Strike 2」、「PUBG」は「DLSS」に対応していないタイトルだ。それでもRTX 5060 Tiはそれぞれ272fps、191fps、141fpsとなっており、RTX 2060/3060よりも1.6倍以上のフレームレートを得られている。
「Overwatch(Overwatch 2)」は競技タイトルではあるものの、描画負荷は少し重めだ。「DLSS」のフレーム生成には対応していないが、超解像には対応している。超解像利用時にはGPUの描画性能の差がそのまま反映されるため、GPU間のフレームレートの差は上記2タイトルと同じ傾向だ。
「風燕伝:Where Winds Meet」と「Delta Force」、「Battlefield 6」は超解像とフレーム生成の両方に対応したタイトル。「風燕伝:Where Winds Meet」と「Battlefield 6」は他のタイトルと比べてフレームレートの伸びが大きい。特に60fpsを大きく下回っている場合はプレイ体験にも影響があるため、乗り換えによる効果を体感しやすいだろう。
クリエイティブ作業は10倍以上高速化する場合もある
GPUはクリエイターの現場でも広く利用されている。生成AIや3Dレンダリング、映像の編集など、AI対応のツールを使う機会は多い。グラフィックボードを乗り換えると、そのパフォーマンスも向上する。その効果も見ていこう。
クリエイター向けツールでも効果大
ComfyUI Flux.2、D5 Render、Adobe Premiere Pro、Puget Bench、Llama.cppによるパフォーマンステスト。Intel Core Ultra 9プロセッサ 285K、64GB DDR5。テストはNVIDIAのラボによるもの。
上のグラフは、RTX 2060を基準にRTX 3060とRTX 5060 Tiがどの程度パフォーマンスが高かったかを示したものだ。順に見ていこう。
「画像生成」は「ComfyUI Flux.2」を利用したAIによる画像生成だ。ローカル環境で動かすため、GPUの性能が強く反映される。RTX 5060 TiはRTX 2060に対して4.6倍もの速度で生成を終えた。生成AIでは主に「Tensorコア」を使う。そしてAIは常に新しいハードウェアに対応させてアップデートするため、グラフィックボードの乗り換えは効果が非常に大きい。
「D5 Render」を使った「3Dレンダリング」のテストは今回の比較で最も大きな差が出ている。「D5 Render」はレイトレーシングを多用することでフォトリアリスティックなイメージを作れる3Dレンダリングソフトだ。GeForce RTXシリーズはレイトレーシング用に「RTコア」という機能を搭載しており、これが大きくパフォーマンスを引き上げる。さらに「DLSS」のマルチフレーム生成にも対応しており、総合して11.7倍と大きな差が生まれている。
「映像編集」は「Adobe Premiere Pro」と「Puget Bench」を使ったテストだ。「Puget Bench」は「Adobe Premiere Pro」を実際に動作させてテストし、スコアを算出することでシステムのパフォーマンスを比較できるベンチマークソフト。グラフィックボードの違いでスコアは1.6倍にもなった。
最後にAI推論のテストだ。AI推論エンジンの「Llama.cpp」が備えるパフォーマンステストを実行し、テスト結果を比較した。こちらは1.5倍。他と比べると数字としてはおとなしいが、AI推論エンジンの利用シーンではこの差が実働時間に関わるため、影響は大きい。
このように、グラフィックボードの乗り換えはゲームだけでなく幅広い用途でパフォーマンスの改善につながると言えるだろう。
各社が16GB版、8GB版を販売中
ここからは製品を見ていこう。RTX 5060 Tiにはメモリ容量の違いで2種類ある。上記のテストで使用したのは8GB版だ。16GB版は基本的なGPU性能は共通だが、8GBを超えるメモリを必要とするゲーム設定、生成AI、3D制作などでは有利になる。
16GBメモリ搭載のオーバークロックモデル
PNY GeForce RTX 5060 Ti 16GB Overclocked Dual Fan

| 製品名 | PNY GeForce RTX 5060 Ti 16GB Overclocked Dual Fan |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 5060 Ti |
| メモリ | GDDR7 16GB |
| コアベースクロック | 2,407MHz |
| ブーストクロック | 2,692MHz |
| メモリクロック | 28Gbps |
| ディスプレイ出力端子 | DisplayPort 2.1b×3、HDMI 2.1b×1 |
| 補助電源 | 8ピン×1 |
| 外形寸法 | 約245×120×39.9mm(2スロット厚) |
| 型番 | VCG5060T16DFXPB1-O |
GPUコアのブーストクロックを2,692MHzまでオーバークロックしたモデルだ。ブラックのファンカバーとバックプレートが印象的で、補助電源用のPCI Express 8ピン端子を背面ブラケット寄りに配置しているのも特徴的。
長さ220.5mmのコンパクトモデル
ZOTAC GAMING GeForce RTX 5060 Ti 16GB Twin Edge OC

| 製品名 | ZOTAC GAMING GeForce RTX 5060 Ti 16GB Twin Edge OC |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 5060 Ti |
| メモリ | GDDR7 16GB |
| ブーストクロック | 2,602MHz |
| メモリクロック | 28Gbps |
| ディスプレイ出力端子 | DisplayPort 2.1b×3、HDMI 2.1b×1 |
| 補助電源 | 8ピン×1 |
| 外形寸法 | 約220.5×120.25×41.6mm(2スロット厚) |
| 型番 | RTX5060Ti16GBTWOC/ZT-B50620H-10M |
オリジナルクーラーの「IceStorm 2.0」を搭載したモデル。ボードの長さが約22cmと短いため、コンパクトなPCケースでも搭載可能だ。そのぶん、オーバークロックの幅は「GeForce RTX 5060 Ti 16GB Overclocked Dual Fan」よりも抑えられている。
コンパクトだがオーバークロックモデル
ZOTAC GAMING GeForce RTX 5060 Ti 8GB Twin Edge OC

| 製品名 | ZOTAC GAMING GeForce RTX 5060 Ti 8GB Twin Edge OC |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 5060 Ti |
| メモリ | GDDR7 8GB |
| ブーストクロック | 2,602MHz |
| メモリクロック | 28Gbps |
| ディスプレイ出力端子 | DisplayPort 2.1b×3、HDMI 2.1b×1 |
| 補助電源 | 8ピン×1 |
| 外形寸法 | 約220.5×120.25×41.6mm(2スロット厚) |
| 型番 | RTX5060Ti8GBTWOC/ZT-B50610H-10M |
「GAMING GeForce RTX 5060 Ti 16GB Twin Edge OC」の8GBメモリ版。他の仕様は共通で、外観もそっくりだ。
ホワイトモデルも選べる
MSI GeForce RTX 5060 Ti 8G VENTUS 2X OC PLUS

| 製品名 | MSI GeForce RTX 5060 Ti 8G VENTUS 2X OC PLUS | MSI GeForce RTX 5060 Ti 8G VENTUS 2X OC WHITE PLUS |
|---|---|---|
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 5060 Ti | |
| メモリ | GDDR7 8GB | |
| ブーストクロック | 2,602MHz | |
| メモリクロック | 28Gbps | |
| ディスプレイ出力端子 | DisplayPort 2.1b×3、HDMI 2.1b×1 | |
| 補助電源 | 8ピン×1 | |
| 外形寸法 | 約227×127×41mm | 約227×126×41mm |
| カラー | ブラック | ホワイト |
| 型番 | GeForce RTX 5060 Ti 8G VENTUS 2X OC PLUS | GeForce RTX 5060 Ti 8G VENTUS 2X OC WHITE PLUS |
オリジナルクーラーの「STORMFORCEファン」を搭載。アイドル時にファンを停止する「FREEZE Fan Stop」機能を備えている。また、ブラックとホワイトのカラーバリエーションもある。
GeForce RTX 5060 Tiに乗り換えることでゲームもAIも快適に
GPUが2、3世代変わればゲームパフォーマンスの向上度合いは著しい。それに加えて、現在はAIや3Dレンダリングで使われる「Tensorコア」と「RTコア」の進化もある。両コアはRTX 2060も搭載しているため、最新世代でなくても十分活用できていると思っている人もいるかもしれない。しかし、GPUの世代と共にこれらの機能も進化している。アプリやAIエンジンもそれらに対応するためにアップデートしており、最新世代のグラフィックボードを使うことには大きな意味がある。メリットの多いRTX 5060 Tiへの乗り換えを検討してはいかがだろうか。
(文・写真=株式会社アスク)
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