
近年、仮想環境の多様化が急速に進んでいる。オンプレミスかクラウドかという選択肢に加え、オンプレミスであればどの仮想化プラットフォームを動かすかなど、用途によってさまざまな仮想マシンが使い分けられている。業務で仮想マシンを利用する場合、データを守ること、ダウンタイムを減らすことは非常に重要。バックアップ体制の構築と運用は、注目度の高いテーマだ。
2026年9月、Synologyはバックアップに特化した「ActiveProtectアプライアンス(以下、ActiveProtect)」のOS、「ActiveProtect Manager 2.0(以下、APM 2.0)」をリリースした。このバージョンではバックアップの中でも仮想マシンを対象とした機能が大幅に強化されている。本コラムでは、その内容を紹介する。
株式会社アスクはSynology社の正規代理店です。家庭用NASから法人向けのラックマウントNAS、「ActiveProtect」シリーズまでお取り扱いがございます。資料請求やお問い合わせはこちらのページよりお気軽にご連絡ください。
目次
バックアップに特化したストレージ「ActiveProtect」
バックアップのためのハードとソフトを一括提供
「ActiveProtect」はバックアップに特化したネットワークストレージだ。イミュータブルバックアップの作成やエアギャップ設定、クラウドストレージとの連携などが行え、「ActiveProtect」を中心に据えることで3-2-1-1-0バックアップルールに基いたバックアップ体制を構築できる。

「ActiveProtect」は業務システムのトータルバックアップを行えるアプライアンス。その重要な機能の1つが仮想マシンのバックアップだ。「APM 1.0」でもその機能は備えていたが、「APM 2.0」で大幅に拡充された。
もともと「APM 1.0」では「VMware vSphere」と「Microsoft Hyper-V」のバックアップに対応していた。「APM 2.0」ではさらに、近年中小企業での採用が増えており、注目度の高いオープンソースの仮想化プラットフォーム「Proxmox VE」と、サーバーの仮想化技術の1つであるHyper-Converged Infrastructure(HCI)で利用されているプラットフォーム「Nutanix AHV」にも対応した。これらに対応したことで、活躍の場が大きく広がったと言える。
「APM 2.0」では、クラウドとの連携が強化されたことも大きなトピックだ。クラウドストレージは従来のサービスに加えて「Microsoft Azure Blob Storage」に対応し、仮想マシンサービスである「Amazon EC2」と「Microsoft Azure VM」のバックアップにも対応した。
バックアップした仮想マシンを別の仮想マシンに復元する、クロスプラットフォーム復元にも対応した。これは利用シーンの拡大に大きな意味を持つ。より詳しく見ていこう。

迅速な復活を可能にする即時復元
バックアップをそのまま起動
バックアップからの復元には完全復元と即時復元の2種類がある。完全復元はバックアップデータを全て本番環境にコピーする方法だ。確実だが、バックアップのデータ量が多くなると完了するまでに時間がかかる。
一方、即時復元はハイパーバイザーがバックアップデータをマウントし、システムを起動するというもの。ハイパーバイザーが動きさえすれば、仮想マシンの起動にはシステムファイルのコピーすら必要ないため、復元を始めてから仮想マシンが利用可能になるまでの時間はこちらの方が圧倒的に短い。災害時など急いで復旧したい場合に適しており、DR(Disaster Recovery)対策としても有効だ。
柔軟な復元オプションで利用シーンを拡大
仮想環境プラットフォームの乗り換えにも対応可能
「APM 2.0」で対応したクロスプラットフォーム復元機能は、即時復元をより便利にする。災害時は、復元しようにも同じプラットフォームの仮想マシンがすぐに用意できないこともある。そうした場合でも、他の仮想マシンに復元できれば迅速に対応可能になる。
また、仮想マシンを別のプラットフォームに乗り換えたい場合にも、「ActiveProtect」のバックアップがあれば移行の手間を削減できる。
オンプレミス同士の復元
例えば、「VMware vSphere」で運用していた仮想マシンのバックアップを「Proxmox VE」に展開し、移行することができる。「APM」の機能でシステム構成やファイル形式のコンバートを行えるため、準備の手間は大幅に減る。さらに即時復元で運用を始めてからバックグラウンドでデータを移行させられるので、トータルのダウンタイムも最小限に留められる。

オンプレミスとクラウドの移行も可能
「APM 2.0」で「Amazon EC2」や「Azure VM」に対応したことにより、オンプレミスからクラウド、クラウドからオンプレミスへの移行も簡単に行えるようになった。基本的な手順はオンプレミス同士の場合と同じだ。
「ActiveProtect」は内蔵ハイパーバイザーを備えており、事前に移行テストを行えるのも強みだ。システムやアプリの起動テスト、データへのアクセステストなど、環境が変わることで発生する懸念のあるトラブルを本番環境に展開する前に検証しておける。
クラウドからクラウドに直接復元
「ActiveProtect」は、多重バックアップのためにクラウドストレージとの連携機能を備えている。バックアップデータがクラウド上にあるなら、クラウド上にある仮想マシンへの復元はより簡単になる。対応するクラウドストレージのバックアップデータから直接復元できるため、一度「ActiveProtect」にダウンロードする必要はない。通信データ量も時間も節約できる。
ただし、クロスプラットフォーム復元はプラットフォームの移行なので、特定の条件や機能で制約や手間が発生する場合がある。事前にナレッジセンターのヘルプを確認するとよい。
「ActiveProtect」は仮想マシンの最高のパートナー
元に戻すだけがバックアップではない
「APM 2.0」により、「ActiveProtect」はバックアップ専用ストレージという枠を超え、運用やDRのための機能も搭載した。バックアップと聞くとデータ保護のイメージが強いが、現代のバックアップはそれだけでは足りない。セキュリティと可用性を高められる「ActiveProtect」は、現代に求められるバックアップのあり方を体現した製品と言えるだろう。
(文・写真=株式会社アスク)
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