製品レポート

Product Report

静音と冷却を両立したスタイリッシュなミドルタワー「Define R4」

Fractal Designはスウェーデンに本拠を置くPCパーツメーカーだ。2007年設立と若いものの、北欧生まれの洗練されたデザインと確かな品質を両立している。確かなものづくりが評判を呼び、同社の製品は今、人気が急上昇中だ。

今回紹介する「Define R4」は同社のメインストリームとなるATX対応のミドルタワーケース。静音と冷却を両立して人気を博した「Define R3」の後継で、前面の扉や吸音、防振シートを備える点など、基本的な構造は踏襲している。


扉は樹脂製

扉は樹脂製だが、表面にヘアライン風の加工を施しており、高級感がある。塗装はマットで落ち着いた質感だ。外装だけでなく、内部までくまなく塗ってある。

対応フォームファクター ATX、MicroATX、Mini-ITX
外形寸法(mm) 幅232×奥行き523×高さ464
シャシーの材質 プラスチック、スチール
重量 12.3kg
ドライブベイ 5インチ×2、3.5/2.5インチ内部×8、2.5インチ内部×2
拡張スロット 7+1
搭載可能ファン 前面14cm角×1(搭載済み)、12/14cm角×1
背面14cm角×1(搭載済み)
上面12/14cm角×2(240/280mmの水冷ラジエーター取付可)
底面12/14cm角×1
側面14cm×1
前面端子 USB 3.0×2、USB 2.0×2、音声入出力

カラーはブラック、チタニウムグレー、ホワイトの3色をラインアップする。

背面の上部に通風口がある

背面の上部に通風口がある。拡張スロットのブラケットや冷却ファンが白色で、引き締まって見える。

Define R4の内部

Define R4の内部。幅と高さが前モデルのDefine R3より大きくなった。上面方向に余裕があり、手を入れやすい。ATX12VやCPUクーラーの配線などマザー上部の配線が楽にできた。

標準状態では吸音材を多用し静音を重視

一般的にPCケース選びは「静音と冷却のどちらを重視するか」で大きく変わる。例えば、冷却を重視して通気性を高めれば騒音は大きくなる。反対に音が漏れないよう密閉性を高めると、内部に熱がこもりやすく冷却性能に不安が残る。多くの製品は、静音と冷却のいずれかに機能を絞って設計されている。

Define R4は標準状態では静音を重視した構造だ。前面の扉は内側に目の細かいスポンジ状の吸音シートを備える。閉じれば5インチベイの隙間や前面ファンの通気口から音が漏れるのを防ぐ。

両側面パネルは裏側には、自動車の遮音用途でも使われるビチューメン素材のシートが貼ってある。固くて重量があるため、ドライブ類の振動によって、パネルとシャシーが共振するのを防ぐ効果も期待できる。左側面パネルは、ファンを追加できる取り付け穴があるが、内部の音が漏れにくくなるよう裏側に柔らかめのスポンジを使った肉厚の吸音材で覆っている。

シャシーが頑丈なのも特長だ。実測した板厚は内部が0.9mm、側面は1.2mm。ゆがみにくく、パーツをスムーズに出し入れできる。組み立てやすさやメンテナンス性の高さは、長く使えるかどうかを決める。Define R4は文句なしの合格点だ。

前面に備える扉を開いた

前面に備える扉を開いた。扉は磁石でシャシーに固定する。扉の裏に吸音シートがあり、光学式ドライブや前面ファンなどの騒音を抑える。

裏面を吸音材で覆っている

左側面パネルや上面パネルなど、追加ファンの取り付け部は、裏面を吸音材で覆っている。吸音材は肉厚で柔らかい素材だ。

ファンを追加して冷却重視にできる

この製品の最大の特徴が、ファンを追加して冷却重視にカスタマイズできることだ。 標準では、前面と背面に14cm角ファンをそれぞれ搭載している。サイズが大きく、1000回転/分と低回転のため、非常に静かだ。しかも、5インチベイ右側にあるファンコントローラーで回転数を3段階に調節できる。

追加できるファンは、最大で5個。12/14cm角ファンは上面に2個、前面と底面に1個ずつ固定できる。左側面は14cm角ファンを1個取り付け可能だ。上面と左側面は厚みのある吸音材を外してファンを取り付ける。最初は静音PCとして組み立て、CPUの交換やグラフィックスボードの追加といった、内部構成の変化に合わせて、徐々に冷却ファンを増やしていける。PCケースを買い換えることなく、柔軟に重視したい機能をカスタマイズできるのは大きな魅力だ。


前面ファンは5インチベイの下にある

前面ファンは5インチベイの下にある。押してロック/解除する扉があり、外すと防じんフィルターが付いた樹脂製のフレームが現れる。フレームはツメでシャシーに引っ掛かっており開くと、内側にファンがある。ファンの着脱に工具は不要だ。

ファンを追加して、冷却能力を向上できる

ファンを追加して、冷却能力を向上できる。マザーボードと上面のスペースが広いため、取り付け作業がしやすかった。

5インチベイの右側にファンコントローラーのスイッチがある

5インチベイの右側にファンコントローラーのスイッチがある。最大3個のファンを同時に制御できる。回転数は12V(100%)、7V(約58%)、5V(約42%)の3段階に切り替えが可能だ。

メンテナンスしやすく装備も充実

組み立てやすい工夫が満載なのもDefine R4の魅力だ。3.5インチ内部ベイはトレー式。白いトレーは金属製でHDDは底面からドライブをねじで留める必要がある。ねじ穴部分には制震ゴムが付いており、挟んでしっかりとトレーに固定できる。ゴムのおかげで、動作時にHDDのディスクが回転する振動や、カリカリといったシーク音がシャシーに伝わりにくくなっている。トレーには2.5インチのSSDも取り付けられる。こちらも底面からねじで固定する。SSDを付けた場合は、端子がL字型のSerial ATAケーブルを組み合わせるとトレーに干渉する。端子がストレートなケーブルを使うようにしよう。

3.5インチ内部ベイは、全部で8個ある。ミドルタワーケースとしては豊富だ。上段が5個分、下段が3個分と2つのケージに分かれており、上段のケージは取り外せる。これにより、ケース内部の幅を約29cmから約43cmに拡張できる。このケージは向きを90度回転させて固定することも可能。向きを変えると、前面ファンの風がベイの中に直接流れるようになる。ストレージPCのようにドライブを多数備えた場合に有効だ。

細かい配慮も行き届いている。5インチベイの目隠し板は前面につまみがあり、外側から簡単に外せる。拡張スロットは、アクセサリー用の枠がある。ファンコントローラーのつまみやeSATA端子などを取り付けられる。もちろん、今や当たり前となるUSB 3.0端子も備えている。

内部ベイのトレーは白く塗装されており、内部をスタイリッシュに見せる

内部ベイのトレーは白く塗装されており、内部をスタイリッシュに見せる。3.5インチ、2.5インチドライブとも、底面からねじで固定する。

ケージを90度回転させ、ドライブの向きを変えられる

ケージを90度回転させ、ドライブの向きを変えられる。前面ファンの風がドライブの間を大量に流れるようになる。

右端のつまみを引くと、5インチベイの目隠し板が外れる

右端のつまみを引くと、5インチベイの目隠し板が外れる。わざわざ前面パネルを先に外さなくてよい。

端子類は上面の最前面にある

端子類は上面の最前面にある。PCケースを床に置いて使う場合に、アクセスしやすい。

静音重視でもよく冷える

パーツを組んで、Define R4の騒音値と冷却能力を検証した。CPUには、LGA1155対応で最もスペックが高いIntelのCore i7-3770K(3.5GHz)を使用。マザーボードはIntel Z77チップセット搭載するモデルにした。さらに、ハイエンドチップのRadeon HD 7870を搭載したグラフィックスボード「R7870 Twin Frozr III OC」を取り付けた。室温23度、暗騒音30dB(A)以下の部屋で、PCに負荷をかけてCPU温度と騒音値を計測した。高い負荷をかけてもファン回転数が標準状態(12V)であれば、CPU温度は71℃に抑えられ、問題無く動作していた。また、この場合でも騒音値は最大42.1dB(A)で、耳を近づけないと、気にならないレベル。Webブラウズやオフィスソフト、負荷の軽い3Dゲーム程度なら静音重視でも十分に動作する。追加ファンの出番は、オーバークロックしたり、グラフィックスボードを複数枚使ったりと性能を極端に重視する場合だろう。

静音重視でも、冷却重視でも満足して使える万能モデルだ。剛性が高く、内部が広いことで、組み立てやメンテナンスがしやすい。自作の初心者からベテランまで、満足できる1台だ。


パーツ一式を組み込んだところ

パーツ一式を組み込んだところ。長さが約27cmのグラフィックスボードも余裕を持って収まった。内部は広々としており、CPUクーラーは高さが 17cmまでの高性能モデルに対応する。空気は前面パネル脇のスリットから取り込み、内部を循環する(赤い矢印)。標準時、排気は背面ファンで行う。上面のファン取り付け部にあるパネルを外すか、ファンを付ければ、排気や吸気を強化できる。

温度計測の結果

温度計測の結果。アイドル時は起動してから約5分、負荷時は「OCCT 4.3.2」の「CPU:Linpack」を実行後約5分後の値。前面と背面ファンの回転数を一番低く落としても、よほど負荷をかけない限りはよく冷えている。

騒音計測の結果

騒音計測の結果。前面扉から15cm離れたところに騒音計を設置した。アイドル時、負荷時ともに温度と同時に計測した。低回転だと部屋の外を車が通り過ぎる音の方が大きく、耳を近づけないと聞こえなかった。高回転でも極めて静か。うるさく感じることは無かった。

(文・写真=SPOOL

※ 本記事は執筆時の情報に基づいており、販売が既に終了している製品や、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。

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●Fractal Design社 概要
Fractal Design社は、品質や機能性などを損なうことなく、斬新なデザインの製品を提供することをコンセプトに、PCケースをはじめ、数多くのPC関連アクセサリー製品を提供しています。全てのFractal Design製品の設計や検査はスウェーデン本社で行われており、「Less is more」(より少なく語ることは、より多く語ることである)をモットーに、北欧デザインの象徴である、シンプルでエレガントなデザインに取り組んでおります。
メーカーウェブサイト:http://www.fractal-design.jp/

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