左から、東急建設 中林様、和田様、アスク 佃、Matterport 松盛様
2024年4月より時間外労働に罰則付きの上限規制が施行されることに伴い、建設業では、業務のより一層の効率化を図る必要に迫られています。東急建設様では、Matterportの導入に対し、3つのメリットをご評価いただきました。
圧倒的なスキャン速度に加えて、写真画像・点群データを同時に取得することができるため業務の効率化が可能となりました。
現況調査や出来形管理業務における計測、図面との照合などを省力化し、技術者が今まで以上に付加価値の高いコア業務に集中できるようになりました。
Matterportのデジタルツインの威力を目の当たりにした施主様からも大きな反響があり、お客様との合意形成・情報共有の円滑化による提案力の強化を実現しています。
本記事では、そんなMatterportを使った東急建設様の取り組みに迫ります。
ランチにファミレスに行けば、タブレットで注文し、ロボットが配膳し、休日に服を買いに行けば、セルフレジで、キャッシュレスでお会計をします。もちろん、建設業界でも例に漏れません。今、あらゆる業界で上記のようなDX「デジタル変革」が加速しており、建設業界においても「建設DX」の必要性が叫ばれています。国交省が「i-Construction」を、民間では「建設RXコンソーシアム」が進んでいます。
DXは、「目的」ではなく、「手段」であり、株式会社アスク 法人事業本部では、DXを推進してお客様の「課題」を解決します。先行するグローバル市場で急成長中の、最先端テクノロジーを活用した「Matterport」のようなソリューションのトライアルから導入、活用支援までアスクワンストップでご提供しています。
デジタルツインは、デジタルの双子という意味で、現実をデジタル上に再現することを指します。現実をデジタルに再現することは、単に現実の偽物をつくることではなく、リアルをも越えた利点があります。現実世界の移動や時間の制約を突破し、いつどこにいても誰でも、その現実へデジタル上でアクセスした上、様々な検討やシミュレーションをその場で実行できるのです。あらゆる業務にデジタルが入り込むこれからの時代に、未来の建設業に、必須のDXです。
「Matterport」は、デジタルツインのプラットフォーム(基盤)の一つです。
空間を素早く簡単にスキャンすると、Matterportのクラウド上で自動的にデジタル空間を作り上げます。Matterportのデジタル空間は、お手もとのWEBブラウザを搭載したスマートフォン、タブレット、パソコンなどのあらゆるデバイス、最先端のVRデバイスでいつどこでもアクセスすることができます。空間の中を自在に歩き回ったり、外から自由に飛び回って、コメントを残したり、計測したり、コミュニケーションを残すことさえできます。
左から東急建設 中林氏、東急建設 和田氏
東急建設株式会社(以下、東急建設)様は、土木・建築の建設事業を主軸に事業展開しており、長期経営計画において「デジタル技術」と「人材」を競争優位の源泉と位置付け、ICT活用によるDX推進を先駆的に取り組んでいる会社です。
常に最新技術を追求されており、今回は、本社土木部門のICT推進グループでMatterportをご導入頂きました。Matterportの活用は、国内の土木分野における先進的な事例です。迅速な撮影・高精度な画像、計測可能な上、誰でも簡単にブラウザで操作できる圧倒的な利便性を目の当たりにし、この新しい技術が東急建設様の複数の現場で続々と採用され始めています。
1946年創業の東急建設様は、渋谷や東急線沿線の開発で培ったまちづくりのノウハウを活かし、土木・建築の建設事業を主軸に国際事業、不動産事業など幅広い事業を展開しています。2021年3月に新たな企業ビジョン「VISION2030」を公表し、その達成に向けた長期経営計画では、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として、DX推進およびデジタル人材育成にも積極的に取り組んでいます。
「コア事業」の一角である国内土木事業においてDX推進をリードする東急建設 土木事業本部 技術統括部 土木設計部 ICT推進グループ 課長代理の和田 勝利氏は、自身の役割を次のように説明します。
東急建設 土木事業本部 技術統括部 土木設計部 ICT推進グループ 課長代理 和田勝利氏
「本社土木の部門で、ICT技術を全現場に広げ、BIM/CIMのプラットフォーム化を進めるために、現場のサポートや新しい技術の試行などの業務を行っています。多忙な現場に、使い慣れた技術から新しい技術への切り替えを促すのは容易ではありませんが、『2024年問題』を目前に、より一層の業務効率化を迫られる中、選び抜かれた新技術に関する情報提供や、各現場でデモを行うなど有益なサポートが支持され、新技術の導入に前向きな現場は着実に増えています。」
また、技術者の立場で大規模な現場の耐震補強工事などを管轄する 東急建設 東日本土木支店 土木部 監理技術者の中林 拓真氏は、和田氏の取り組みを次のように評価しています。
東急建設 東日本土木支店 土木部 監理技術者 中林拓真氏
「新技術を使うニーズはありましたが、導入して現場へ定着させるのは簡単では無かったです。しかし、2024年問題を乗り越えるために、技術者としてイノベーションを生み出すICT技術の導入は不可欠でした。土木部門では、ICT推進グループが、新しい技術を分かりやすい資料で発信するとともに、現場まで出向いて紹介してくれるので、現場の意識改革が着実に進んでいます。」
東急建設の土木部門の現場では、360度カメラによる撮影と、地上型レーザースキャナー(TLS)による3Dデータ取得を併用していました。360度カメラは技術者以外の担当者も使用できましたが、レーザースキャナーによる3Dモデルを活用した断面図作成などの処理は、従来は専門技師が行う必要がありました。
和田氏がMatterportをアスクへ問い合わせたのは、上司の推薦がきっかけです。
「展示会で、建設DXソリューションを紹介していた株式会社アスク(Matterportの正規ディストリビューター)の紹介を頂きました。東急建設 土木本部の幅広い業務に『はまる』ICT機器を探していたところ、Matterport Pro3の話を聞き、『これだ』と直感しました。国内発売のタイミングでアスクさんへ問い合わせをし、現場でのデモをして頂きました。(和田氏)」
「アスクでは、導入支援として、積極的にトライアルやデモを行っており、和田様とのお打合せの中で、中林様が管轄する現場でのデモを実施することになりました。(アスク 佃)」
迅速な撮影、高精度な画像、現場をバーチャルに歩き回ることができるウォークスルー機能、立体的に俯瞰できるドールハウスビュー、計測もできるMatterportの威力を目の当たりにし、現場に衝撃が走りました。
その中でも、中林氏がさらに驚いたのはデジタルツインの空間内に、付箋を貼り付ける感覚で、説明書き、図面などの画像、動画、リンク、ファイルを追加できるタグ機能や、@マークで宛先の相手を指定して複数のユーザー間でのコメントやフィードバックの交換などのコミュニケーションができる注記(Notes)機能です。
「現況調査や出来形監理がリモートでも可能となり、現場への訪問回数の削減およびコミュニケーションの円滑化、手戻り防止による省力化を実現し、業務効率化に繋がります。想像以上に、画期的な製品だと衝撃を受けました。(中林氏)」
「最も期待していたのは、360度カメラとレーザースキャナーの機能を兼ね備え、1回のスキャンで写真画像と点群データ両方が取得できる点ですが、そのスキャンとデータ生成の速さに驚きました。写真および点群データはクラウドにアップロードすると全自動で合成され、デジタルツインの生成による省力化が期待でき、計測精度も申し分なかったのが導入の決め手です。(和田氏)」
Matterportの導入後、和田氏はICT推進グループ内でトンネルや水処理施設などの撮影・計測を試行し、説明資料を社内に展開しています。
Matterport Pro3でスキャンしている様子(左)、タグ機能(右)
施設のドールハウス画像(写真出典:東急建設)
東急建設の土木部門では、駅周辺開発などの現場でもMatterportの導入が進んでいます。
レーザースキャナーを使用していた頃は専門技師が行っていた撮影を、いまでは現場の担当者が行っています。円滑な移行の決め手は、和田氏のデモで目にあたりにしたシンプルな操作性、圧倒的なスピードです。LiDARを搭載したMatterport Pro3の1箇所あたりのスキャン時間は約20秒(!)、その後の処理も全自動で数時間程度で完了します。一方、通常のレーザースキャナーは1箇所のスキャン時間は5分で、その後の処理に約1日程度を要します。
Matterportでは、ウォークスルーやドールハウスビューが全自動で生成され、十分な精度で寸法計測もできます。操作が簡単で迅速に撮影できる360度カメラと、高い精度で点群データを取得するレーザースキャナーの長所の両方を併せ持つMatterportは続々と現場で導入され、採用が加速しています。
寸法測定機能(写真出典:東急建設)
監理技術者の中林氏は、Matterportの活用によるお客様への提案力強化に確かな手応えを感じており、更なる期待を寄せています。
「お客様にデモで撮影したMatterportのデジタルツインを見せたところ大変な反響がありました。Matterportで撮影しておけば、頻繁な立ち入りを避けたい現場へ来ていただく必要はありません。タグ機能でデジタルツイン上に図面などの資料をデジタルツインに埋め込んでおけば、ウェブブラウザを経由して、いつどこにいても誰でも簡単に確認や照合が完結できます。注記(Notes)機能を使えばデジタル空間上でお客様と非同期コミュケーションが行なえます。例えば、遠く離れた本部などへの報告やコミュニケーションにも活用でき、施主様の生産性向上にも繋がります。また、施主様側の担当者が替わっても、Matterportのデジタルツインがあれば引継ぎもスムーズでしょう。パワーポイントに画像を貼付しコメントを付けた資料などとは、作成の手間も直感的な分かり易さも各段に違うはずです(中林氏)」
東急建設の土木部門では「2024年問題」への対応だけではなく、長期経営計画において競争優位の源泉に位置付けられた「人材」が能力を発揮しイノベーションを創出し続けていくために、コア業務に集中するためのソリューションやアウトソーシングを常に精査しています。
Matterportは、取得したデータをBIMへ変換して納品するサービス「Matterport BIM File」も展開しており、日本国内でも導入が増えています。
和田氏・中林氏はそれぞれの立場から下記のようなコメントで、旺盛な探求心と想像力を覗かせます。
「ICT推進グループが現場に行かなくても、現場主導で導入が進む仕組みをつくりたい(和田氏)」
「将来的には、Matterportのカメラが自動で現場に行って撮影・計測までしてくれるようになれば面白い(中林氏)」
アスクでは、現場向けの個別セミナーや、導入支援、そしてお客様が語る未来を実現できるようなソリューションを展開しています。すべてがDXとなる日を夢見て、東急建設様のような建設業、製造業をはじめとした様々な業種のお客様と複数のプロジェクトを展開し、Matterportをはじめとするメーカーやパートナーの幅広い関係者との連携をしてきました。御社でも、DXを実現してみませんか?
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髙松建設株式会社(以下、髙松建設)様では、同業種の中でも、特に設計社員を多く抱えており、「Twinmotion」「Lumion」など、3DCGを利用した設計・プレゼンテーションに積極的に取り組んでいます。
2023年6月に、これまで固定席でデスクトップPCを利用して行っていた3DCG作成業務を、グループアドレスに対応できるよう、ノートブックPCへ移行することとなったことが背景となり、同社の設計本部で、弊社よりご提案させていただいた外付けGPUをご導入いただきました。その結果、建築ビジュアライゼーション処理基盤が強化されるとともに、新しい働き方の実現につながっています。
「当社では、ビジネススタイルの変化に伴い、新しいオフィスでは、ABW(アクティブベースドワーキング)の考えをもとに、グループアドレスを採用しました。」
髙松建設株式会社 東京本店 設計本部 デジタル統括室 部長 浅海 義徳氏
髙松建設様は1917年に創業され、これまでに5,000棟を越える集合住宅・オフィスビルなどの多種多様の施工実績を持つ総合建設会社です。
約1,980名が在籍する同社の社員は、「他社ではできないこと」「他社ではやらないこと」をめざす「ユニークなグッドカンパニー」という企業理念を掲げ、持てる技術を駆使し、知識と知恵の全てを提供し、お客様の事業を成功に導き、お客様に幸せをもたらし、もって社業の発展を通じて社会に貢献することを使命とされています。
髙松建設様では、港区芝にある東京本社ビルが築50年を超えたことを契機に、グループ会社間の連携を強化するとともに、業務の効率化を図るため、東京本社ビルの建て替えを行い、2023年5月に「髙松コンストラクショングループ 東京本社ビル」として生まれ変わりました。この新東京本社ビルは中期経営計画の目標となっている「多様な働き方の推進」「働きやすいオフィス環境の提供」を実現するための重要な取り組みの一つと位置付けられています。
新オフィスでは多様な働き方を実現し、グループ間や部署内でのコミュニケーションを活性化させ、生産性を高めるとともに、風通しの良い職場環境の実現をめざしています。
「当社では、ビジネススタイルの変化に伴い、新しいオフィスでは、ABW(アクティブベースドワーキング)の考えをもとに、グループアドレスを採用しました。グループアドレスでは、固定の席で従来のデスクトップ型のパソコンで作業するのではなく、軽量のノートブックPCを使い自由な席で仕事をします。」と髙松建設 東京本店 デジタル統括室 室長 浅海 義徳様(以下、浅海氏)は、明かします。
しかし、設計本部での業務では、「Twinmotion」、「Lumion」などの建築ビジュアライゼーションツールを使用しており、ノートブックPCに内蔵されているGPU以上のパワーが必要となりました。
「GPUを内蔵しているノートブックPCでも、『Lumion』、『Twinmotion』は、デザイン検討の初期段階であれば問題なく利用できます。ただし、設計のフェーズが進み、様々な要素の追加など、情報量が増えてくると、フレーム落ちが発生しました。照明の情報を追加すると、急激に動かなくなってしまいました。」(浅海氏)
当初は、VDI(仮想デスクトップ基盤)、クラウドの導入も検討されていました。しかし、クラウドでは、最新GPUが利用可能となるまで時間がかかること、実際の利用料がどの程度になるのかを想定をすることが難しいなど、問題があることが分かりました。
「充分なGPUパワーを利用できるデスクトップPCを一部残すという案もありましたが、新ビルのコンセプトから外れてしまいます。外付けGPUの検討を開始しましたが、取り扱っている会社は少なく、アスクに声をかけた所、すぐに検証機を用意してくれました。」(浅海氏)
以前より外付けGPUの存在はご存知でしたが、実際に検証をするまでは、期待通りに動作するか心配だったと言います。検証を進めていくと、当初使用していた業務用GPUのQuadro系(NVIDIA RTX A6000など)ではなく、GeForce系の方が導入したノートブックPCとの相性が良いことがわかってきました。
「たまたま、その時に、デスクトップPCを使って『Twinmotion』の作業していた設計チームで、GPUパワーが不足することがありました。ただ、お借りしていたクラスのGPUでは快適に作業ができるということが判明し、GeForce 4070シリーズを搭載した外付けGPUの導入を決めました。」(浅海氏)
検証終了後、外付けGPUを5台導入されました。
「導入後の稼働率は想像以上に高いです。外付けGPUの使用は予約制で、時には2日先、3日先までの全台数の予約が一杯になることもあり、追加導入の声も上がっています。VRやAIが日常に入り込んできた昨今、設計図面やスケッチを描いて持っていくだけでなく、リアルな完成予想CGでのプレゼンが当たり前のように必要とされています。」(浅海氏)
設計本部に所属されている社員の約半数は、毎日のように外出されています。時には、お客様の前でリアルタイムで修正を行ったり、プレゼンを行うために、外付けGPUを社外へ持ち出すケースもあると言います。この外付けGPUは、可搬性にも優れています。
外付けGPUは、搭載するGPUのサイズより小さくなることはありませんが、今はポケットサイズの外付けGPUも登場しています。今回ご導入いただいたフルサイズの外付けGPUは、VRAMも大きく、ノートパソコンへの充電もできるため、非常に重宝していると言います。また、ちょうどインタビューの数週間前に、インテルより「Thunderbolt 5」が発表され、2024年には搭載した製品がリリースされる予定です。
「『Thunderbolt5』では、帯域が2倍になり、外付けGPUに搭載されているGPUのパワーを更に引き出せるようになるので期待しています。次の更新タイミングで、対応製品が出ていれば、ぜひ導入してみたいです。」浅海氏は、外付けGPUの導入に確かな手応えを感じ、更なる発展に意欲を覗かせます。
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「過去には放送業界向けの高性能なストレージを利用していましたが、運用上、専門的な知識が必要でした。それに対して、Synology製品は専門家でなくても比較的取り扱いが簡単です。特に、FS6400は、今回の配信ニーズに適した性能を持ちながら、コストの面でも導入しやすかったので、採用を決めました。RAIDの構築が迅速に行える点も大きな魅力でした」
AT Linkage株式会社 代表取締役
福谷亮氏
AT Linkage株式会社(以下AT Linkage)は、テレビ番組やインターネット動画配信の企画制作を主軸に、システム構築やプロジェクトマネージメントなど、多岐にわたるサービスを提供している。これまで大規模な屋外音楽イベントや国際会議の配信を成功させ、その都度、プロジェクトに最適なシステム構築を実現してきた。
その豊富な実績と経験が高く評価され、2023年5月19日から5月21日にかけて広島県で開催された先進国首脳会議(通称:G7 広島サミット、以下 広島サミット)で、国際メディアセンターの運営に携わることとなった。国際メディアセンターは、各国メディアの活動拠点となる施設で、放送設備が集約されている。広島サミットでは、メイン会場のホテルと離れた位置にある広島県立総合体育館に国際メディアセンターが設置され、国内外からの報道関係者約1万人がこの施設を利用した。
AT Linkageは、広島サミット会場内外のCCTV(閉回路テレビ)のシステム構築と運用を担当した。CCTVは、特定の施設内に構築されるテレビシステムを指す。サミットのような大規模な国際会議には、多数のメディアが世界各国から取材に訪れるが、会場スペースの制約からすべてのメディアが取材エリアに入ることは難しい。そのため、代表となるメディアが取材・撮影を行い、その映像はCCTVを通じて各国メディアに提供されるのだ。
サミット開催に向けてシステムの構築や機材選定が進められた舞台裏で、どのような課題や工夫が生まれたのか、AT Linkage代表取締役の福谷 亮氏(以下 福谷氏)に話を伺った。
G7とは米国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本の西側諸国の主要7ヵ国が世界の経済、金融、気候変動など世界が抱える課題について議論する会合である。
G7広島サミットは、世界平和や、食料問題、エネルギー問題など世界をより良い方向に導くための決定事項を、全世界に向け発信するというミッションを議長国として、日本は威信をかけて完遂する必要があった。
そのためG7広島サミットでは高い品質でのライブ配信を提供する必要があった。配信では遅延によるコマ落ちが基本許されず、収録、編集、配信などの複数フェーズにそれぞれ細かい要件が設定されていた。
また大規模な国際会議では、開催直前/開催中にも進行プログラムや放映内容の変更が生じることが多い。そのため、事前準備の段階でシステムを仮構築し、開催直前に詳細が確定した後の数日間で本番に向けて機材のセットアップから最終調整を行う必要がある。
福谷氏「今回G7広島サミットのCCTV配信を担当するにあたり、いくつかのライブイベントが並行して実施されており、全てをライブでは上映できません。また、ライブで流されたイベント映像に対して編集をしてコンパクトにわかりやすく伝え直す必要もあります。そのため、追っかけ編集に対応できるワークフローを構築し、ライブそのままのディレイドでの放映や、迅速に編集をしての再放映のニーズに対応する必要がありました。」
高い品質のライブ配信を実現するため、AT Linkageは、高いパフォーマンスや信頼性を提供する配信サーバーを必要としていた。
Synology FS6400はパフォーマンス、信頼性、機能拡張に対応する柔軟性を提供する。
パフォーマンス面では特にデータの読み込み速度が非常に重要であった。広島サミットでは、収録しながらの再生と追っかけ編集をコアとして主要なワークフローが採用され、サーバー性能が非常に重要となった。特に追っかけ編集を行う現場では、安定した収録システムが第一要件となる。ファイルの操作中にデータの読み書き速度が低下すると、収録や再生が停止するリスクがあるが、どのような状況でも3日間72時間の間は、配信映像が途切れる事態は回避しなければならない。そのため、SSDで構成され、大幅にアクセススピードを向上できるオールフラッシュのFS6400にSSD24台を搭載し、RAIDF1を構築した構成は、最適な選択だった。10GbEでSMBを使用し、Synology SSDを24台搭載し、RAIDF1を使用した場合のスペックはRead:7058.77MB/s、Write:7058.24MB/sとなる。(詳細はSynology HPにて)
また信頼性の観点では、Synology純正のSSDであるSAT5210-1920Gを使用することでストレージシステムを全てメーカー純正品で揃え、互換性の問題などのリスクを回避している。またメモリを64GBに増設することでハードウェアスペックを補強し、システムリソースの観点から余裕のある運用を実現した。
さらに今回のFS6400には会見映像で撮影された映像の書き込み作業、Mac5台での追っかけ編集、デジタルサイネージへのライブ配信、様々なデバイスがFS6400にアクセスする必要がある環境での運用となった。Synology NASはSMB、NFS、AFP、FTP、rsyncなどの様々なファイルプロトコルに対応しており、複数のサービスを利用する際のサーバーとしての利用が可能だ。
実はAT Linkageは2016年に開催された伊勢志摩サミットでもSynology NASを使用している。AT LinkageのHPには伊勢志摩サミットで撮影された画像を公開しており、そこにも2ベイタイプのSynology NASが登場している。
サミットのような大規模な案件でのメインの配信サーバーとしての使用は今回が初めてとなった。Synology製品は全てのNASに統一のOSであるDSMが搭載されており、今回初めてFS6400という大型ラックモデルを導入したが、同じく分かりやすいUIで対応でき、操作方法を学びなおす必要がない。
「検証段階でライブ配信環境を構築するストレージとして、申し分ないパフォーマンスが発揮することが判明した後は、操作方法の勉強などに必要以上に時間を取られる必要がなく安心してG7広島のライブ配信に臨むことができた」と福谷氏は語る。
今回3日間72時間デジタルサイネージへのライブ配信を続けたFSS6400は一度もコマ落ちすることなく、求められたパフォーマンスを発揮し、G7広島の成功に貢献した。
導入前の課題だったこまめなデータ削除は不要になったことにより、プロジェクトの管理者が本来の業務に集中できるようになり、以前よりスムーズにプロジェクトを進行できるようになった。
Megalis System & Network Administrator
Andrew Cote氏
Megalisは2017年に日本を拠点に発足したグローバルVFX(ビジュアルエフェクト)スタジオ。
Houdiniを使ったエフェクト中心の会社としてスタートした同社は、SonyやHBO、Netflixなどのストリーミングサービス会社や有料コンテンツプロバイダーとの取引で成長を加速する。「スパイダーマン」や「ドラゴンクエスト」、「マリオカートツアー」など誰しもが聞いたことのある作品で使用されるビジュアルエフェクトを担当し、数々の作品の成功を支えてきた。近年はフルCG制作を手掛けたアニメーションシリーズ「ONI~神々山のおなり」が、第50回アニー賞のテレビ・メディア部門の作品賞およびプロダクション・デザイン賞に選ばれた。
以前よりSynologyをストレージとして利用(RS4017xs+およびFS3400)しており、管理UIの使いやすさなどに好感を持っていたが、VFXやCG制作は常に膨大なスペースを必要とするため、ストレージスペースは十分とは言えず、常にストレージスペースの確保には苦しんでいた。
VFXやCG制作の現場では、完成したデータだけでなく、素材となる画像や動画データなども大量に必要としており、さらに同時に複数のプロジェクトを進行することも多く、いかに保管スペースを確保するかといったことも課題として抱えてしまっていた。
決して余裕があるとは言えないスペースのやりくりとして、作業が終わったデータから順に削除していくなどの工夫を余儀なくされていた。
また、削除にあたっても、やみくもに削除していけばよいというわけではない。誤ってデータを削除してしまえば、アーティストの何十時間もの仕事が無駄になってしまうリスクもあるなど、常にプロジェクト進行を把握している管理者でないと対応できず、その管理も工数に上乗せされてしまっていた。
さらにアーティスト自身にもこまめにデータ管理するようリマインドする必要があり、その手間にも負担をかけてしまっていた。
ペタバイトクラスの広大なスペースをコスト感よく導入できたことがまず挙げられる。
Synology以外の製品も検討はしてみたものの、ペタバイトクラスのストレージはどれも高価で、また集積効率もあまりよくないものが多く、限られたラック内のスペースに収める必要のあった同社にはあまり向いていないことがわかった。その点、HD6500は導入コストも安くペタバイトクラスを4Uに収めるなど高い集積効率をもっていることが決め手となった。
また、多彩なバックアップ機能や便利なアプリケーションが充実しており、無償で利用できる点や、これまでと同じUIで大容量ストレージでも管理ができる点なども導入を後押しした。
セットアップが非常にかんたんで、UIも導入済みモデルと変わらないので、特にトラブルなどもなくスムーズに導入できたという。
また、管理面でも運用にかかる手間を最小限にすることができた。導入前の課題だったこまめなデータ削除は不要になったことにより、プロジェクトの管理者が本来の業務に集中できるようになり、以前よりスムーズにプロジェクトを進行できるようになった。
さらにバージョニング機能としてスナップショット(Snapshot Replication)を活用することで、ヒューマンエラーなどにより誤って削除してしまったデータの復旧や、データを編集前の状態に戻すこともできるようになった。
現在はクラウド連携機能(Cloud Sync)でAmazon S3へバックアップしているが、常に新しいソリューションを模索しており、今後のSynology製品にも興味を持っているとのこと。
また、プロジェクトごとに異なるものの過去半年の実績で約80TBのペースでデータが増加中という。
かなりのハイペースで、ペタバイトクラスのストレージスペースを提供するHD6500といえども、万全ではないが、HD6500は拡張性もあるので、更に大きな容量が必要になった場合には、拡張ユニット(RX6022sas)の追加導入で対応できるのもポイントだ。
さらには、現在シングルシステムとして運用しているが、システムにトラブルが発生した場合のダウンタイムを短縮するため、Synology High Availability(SHA:クラスタリングによるシステムの冗長化 ダウンタイムを45s~1.5min程度に短縮できる)の導入も視野に入れているという。
今、あらゆる業界で DX「デジタル変革」が加速しており、建設業界においても「建設DX」の必要性が叫ばれています。株式会社アスク 法人事業本部では、先行するグローバル市場で急成長中の、最先端テクノロジーを活用した「Insta360」のような製品のほか、「OpenSpace」のようなソフトウェアソリューションをトライアルから導入、活用支援までワンストップでご提案をしています。
360度カメラ「Insta360」は、1回の撮影で全方位を記録できる、360度カメラのグローバルリーダーです。
「OpenSpace」は、360度カメラを持って、記録したい場所の中を通過するだけで、AIによって図面上へ自動でプロットし、WEB上でいつどこにいても情報共有ができるサービスです。記録は、図面上に時系列で補完され、BIM/CIMモデルとの照らし合わせも可能です。それに加えて、AIによる進捗の中立的な定量評価まで可能になる、革新的で最先端の建設DXを実現するツールです。
OpenSpaceを導入したことにより、360度カメラが通過した全方位の記録を自動で図面上に時系列で記録し、あらゆる関係者へ共有、過去の記録や3Dデータとの照らし合わせができるようになりました。
しかし、撮影員が360度カメラをもって記録するのには、新たな課題が浮上しました。プラントの敷地を、日々くまなく記録するために徒歩や自転車で通過するのには、あまりにも広すぎたのです。
そこで、スポットライトが当たったのは、ドローンです。今まで撮影者がカメラを持ち撮影していたものを、ドローンに置き換えることによって、広大で、入り組んだ建造物の多いプラント内を記録するための日々の作業員の負荷を軽減できるのではないかと、あるプラントエンジニアリング会社とアスクで検証を進めました。
現在、ドローンをめぐる規制は、複雑でわかりづらくなっていますが、アスクでは、OpenSpaceをはじめとした最先端の海外のテクノロジーを国内へ展開した知見と実績を元に、ご支援をしています。
今回、OpenSpaceのドローンでの撮影によって、作業員の負荷軽減、実際にドローンの操縦が実用的なのか、現場担当者で出来るレベルなのかを検証いただきました。
今回のプロジェクトによって、プラントエンジニアリング会社様の現場での有用性が確認でき、本格的にドローンとOpenSpaceを組み合わせたDXの展開をはじめました。
アスクでは、すべてがDXとなる日を夢見て、プラント業界をはじめとした国内建設業・製造業をはじめとした複数のプロジェクトを展開、上流から下流に至る幅広いお客様、メーカーやパートナーとの幅広い関係者と連携をしてきました。御社でも、DXを実現してみませんか?
広島大学 ナノデバイス研究所(以下ナノデバイス研究所)は、前身である集積化システム研究センターから数えると37年以上の歴史を持つ研究所であり、2016年には全国共同利用・共同研究「生体医療工学共同研究拠点」として文部科学大臣認定されている。ナノデバイス研究所では、「ナノ集積科学研究部門」「集積システム科学研究部門」「分子生命情報科学研究部門」「集積医科学研究部門」の4つの部門に分かれ、ナノデバイスを核とした先端研究を行っている。集積システム科学研究部門の小出哲士准教授らのグループでは、AIを活用した診断支援技術の開発に取り組んでおり、「リアルタイム大腸NBI拡大内視鏡診断支援」や「皮膚微細構造と発汗状態を見える化するアトピー性皮膚炎の新規診断支援手法」などの研究を行っている。
NBI(ナローバンドイメージング)とは、青色や緑色の狭帯域の光を当てることで、血管構造や表面構造を浮き立たせる技術である。染色液を使わずにリアルタイムにがんの表面構造を確認することができるので、患者への負担も少ない。小出准教授らが広島大学病院・ JR広島病院と共に開発したのが、この大腸NBI画像を用いて、診察室でリアルタイムにがんの可能性が高い部分を示してくれるAIによる診断支援システムである。通常、こうした画像認識によるAIの精度を高めるには、できるだけ多くの画像を使って学習することがよいとされており、場合によっては100万枚を超える画像を学習に用いることもある。しかし、医療分野で臨床試験を行う場合は、できる限り少ない人数で臨床試験を行うことになるので、学習に使えるデータも少なくなる。今回、学習に使った元データは5500枚程度だが、その少ないデータを水増しするデータ拡張(Data Augmentation)を行ったり、ハイパーパラメータをチューニングしたりして、様々な AIモデルを作り、それぞれ学習させていくことになる。
複数のAIモデルを利用した学習を短時間で行うには、高い演算性能が要求される。これまで小出准教授らは、NVIDIAのRTX A6000を2基搭載したサーバーを10台程度用意し、合計で20基のRTX A6000を活用してAIの開発を行ってきたが、開発の速度を加速するには、それだけでは足りなくなってきた。「今までに購入した20基のRTX A6000ですが、研究のために学生同士で取り合いになることもある状況です。特にこうした医療分野では、がんの見逃しがあってはならないですし、逆にがんじゃないところをがんだと診断すると、使ってもらえなくなります。だから非常に精度の高いモデルが必要になってきます」と小出准教授は、医療分野におけるAI開発の難しさを語る。また、開発で苦労したのは、アノテーション(データに識別のためのメタデータを追加する作業)だという。一般的なアノテーションは、例えば、自動車の画像に対して、自動車というメタデータを追加するといったもので、特に専門知識が無くても行うことができるが、こうした診断支援AIのアノテーションには、現場の臨床医の助けが必要になる。「画像を見せてがんと思われる領域を指定してもらいますが、先生もお忙しいのでなかなか時間がとれません。大まかにアノテーションしてもらったデータを学習のフェーズに合わせてフィードバックして形状を変えていくとか、そういうチェック作業をしながらシステム全体を開発しています」
広島大学 ナノデバイス研究所 准教授
小出 哲士 氏
同研究所は医用画像(がん)診断支援(CAD)システム、人工知能情報集積(LSI)システム、IoTによるスマートファブ・農業支援システムなどに関する研究を行っている
小出准教授らのグループでは、以前からNVIDIA RTX A6000を20基ほど用意してAIの開発を行ってきたが、更なる性能を求めて、NVIDIA A100を8基搭載したAIサーバー「NVIDIA DGX A100」と追加のRTX A6000搭載サーバーを導入した。 NVIDIA A100を選んだ理由を、小出准教授は次のように説明する。「NVIDIAのGPUは以前から使っていましたので、その性能や信頼性の高さは分かっていました。NVIDIA DGX A100は、高速な専用バスでGPUがクラスタ接続されていることに魅力を感じました。タイミングがあえばNVIDIA DGX H100もよかったのですが、選定時点ではNVIDIA DGX A100がベストでした」
小出准教授らのグループがNVIDIA DGX A100を導入したのは2023年3月であり、本格的な活用はこれからだが、導入後の検証では、従来3日かかっていた学習が5~6時間で終わるくらいに高速化されていることが確認できた。「NVIDIA DGX A100は非常に高性能なので、学習の高速化が図れます。さらにエッジコンピューティングにも注目しています。NVIDIA DGX A100を使って、学習モデルの最適化/量子化を行い、診断支援技術を診断機器に組み込める形を目指したいと思っています」と小出准教授は今後の展望を語る。エッジ側での推論では、まずはRTX A4000の利用を想定しているとのことだが、FPGAやNVIDIA Jetsonシリーズなどを使った小型システムも開発していきたいという。今回のシステム導入は代理店のアスクとNPNパートナーのアプライドが関わったが、両社ともに技術的なサポートがしっかりしており、スムーズに導入できたので、高く評価しているとのことだ。
NVIDIA DGX A100の後継品となる、NVIDIA DGX H100もリリースされている
今後は、NVIDIA DGX A100の高い演算性能を活かして、医療分野への応用だけでなく、半導体製造工場のスマートファブ化にも取り組む予定である。小出准教授は、今後挑戦したいテーマについて「ナノデバイス研究所には日本トップクラスのクリーンルームがあり、半導体業界との繋がりも大きいのです。今後は、クリーンルーム内のさまざまな製造装置などから得られる大量のセンシングデータをもとに、AIによって製造装置故障予測やLSIの品質制御を行うスマートファブ化にも挑戦していきたいと思っています」と語る。
(左から)株式会社アスク 島田 / アプライド株式会社 永渕 氏 / 広島大学 ナノデバイス研究所 准教授 小出 氏
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「今までは撮影したカメラに対応している専用のメディア(SDカードやS×Sディスクなど)を事前に用意いただき撮影を開始していたが、今はとりあえずSSDお持ちいただければ映像をコピーしてお客様にお渡しでき、大変好評をいただけている」
株式会社ヌーベルバーグ 代表取締役副社長
池田正義氏
NOUVELLE VAGUEはスタジオ収録やロケ撮影、配信業務やイベント収録を行うテレビ番組制作や配信イベントのプロフェッショナルである。日本テレビとの技術協力を長く行ってきた経緯を持つ同社は、現在も様々な人気番組の収録業務を担っている。「月曜から夜更かし」や「ZIP!」や「24時間テレビ」など、誰もが聞いたことのある番組制作はヌーベルバーグの収録技術に支えられている。
さらに同社はテレビ収録で磨かれた技術をライブ配信事業にも活用している。2020年以降、自宅にいる時間が大幅に増えた社会となりゲーム業界は大きな賑わいを見せており、eスポーツの大会は爆発的な盛り上がりとなっている。様々なライブ配信イベントを成功させてきた同社は、4大音楽フェスの一つ「FUJI ROCK FESTIVAL」の配信業務を2021年度より任されている。
「FUJI ROCK FESTIVAL 22」では、合計9つのステージが用意され、そのうち4つの主要ステージの配信を撮影し、FUJI ROCK 公式YouTubeチャンネルでの配信を行うこととなったが、そこには3つの大きな壁があった。
1点目は信頼性である。FUJI ROCKは日本最大級の音楽フェスであり、絶対に失敗は許されない。「もしデータが消失してしまったら」や「もしひどい遅延が発生したら」など起こり得るであろう様々な不安に対して、最大限リスクを減らすことができるよう、とにかく高性能で信頼のできる収録サーバーが必要不可欠であった。
2点目は速度である。YouTubeへのディレイ配信を行う過程で追っかけ編集も発生する。大型イベントは時間指定があり、撮影された映像をいち早く編集し、YouTubeのディレイ配信に間に合うよう、なるべく高速でデータのやり取りを行う必要があった。
3点目はスタジオ収録時に発生するデータの受け渡し方法についてである。カメラに対応するSDカードやS×Sディスクをお客様にご用意していただき、そのデバイスを用いて撮影を行っていた。この映像への物理的な受け渡しから、NAS上で一度動画を保存し、保存された動画をコピーする形でお客様へ映像を渡すという方法への切り替えは、操作方法やお客様が理解いただけるかなど、導入難易度は高かった。
信頼性、速度、新規システムの導入難易度、全ての課題をFS6400は解決した。
FS6400はエンタープライズ向けのNASであり、2つのIntel Xeon Silver 4110 CPUを搭載し、メモリを最大512GBまで拡張することができる。今回は合計メモリ数192GBを用意した。さらに搭載するSSDにも、エンタープライズモデルのSynology純正のSAT5210-1920Gを24台使用した。NAS及び搭載するSSDをSynology純正のもので統一することで信頼性をさらに高め、データ消失のリスクを最大限軽減して使用することが可能だ。
また速度に関してもオールフラッシュモデルであるFS6400を使用することで、macOSへデータをコピーする速度を高速化させた。FS6400は25GbEのNICを拡張することができ、高性能SSD、高性能CPU、大容量メモリを搭載することでパフォーマンスを最大限高めて利用することができる。
導入難易度に関してもSynologyは解決した。現在はFUJI ROCKで使用したFS6400を2022年度オープンしたばかりのスタジオの録画ストレージとして導入しているが、録画データの受け渡し方法は従来の商慣習と大きく異なる。従来はカメラ等の撮影機材はスタジオ側が提供し、カメラ毎に対応する物理的なSDカードやS×Sディスクはお客様が用意する。そして撮影後はその録画デバイスをお客様に返却する形であった。ただし今回スタジオに導入されたNASに録画されたデータをコピーして、お客様に渡すという方式は既存のスタッフがやり方を理解するのに時間がかかるのではないかという懸念があった。しかし新方式によるデータの受け渡しは、スタッフ及びお客様に大好評であった。Synologyの分かりやすく直感的なUIはすぐに社内で受け入れられた。また中江氏は「今までは事前にお客様にどのくらいの容量のカメラに対応するデバイスを持ち込むよう、詳しく説明する必要があったが、今はとりあえずSSDを持ち込むよう連絡するだけでよくなり、お客様の負担も減り好評だ」と語る。
Synologyを選択した最大の利点は容量や用途に合わせた豊富な製品ラインナップだ。
実はFUJI ROCK 21ではDS1821+を使用していたが、その際にもう少し高速でデータのコピーを行いたいと感じ、FUJI ROCK 22ではFS6400の導入に踏み切ったと池田氏は語る。Synology製品はDSMというOSを使用し操作を行うが、モデルが変わっても基本的に操作方法は同じのため、事業成長等でNASを新規に導入したとしても操作方法を新たに学びなおす必要はない。お客様は容量やハードウェアスペックなど必要に応じたモデルを気軽に導入可能だ。
またヌーベルバーグはスタジオの収録を専門に行う会社のため、お客様に撮影データをお渡しした後は基本的にそのデータを保存する必要はない。ただ何かあったときのためにデータを残しておきたいというニーズは常に存在する。池田氏はHyper BackupやActive Backup for BusinessなどのFS6400に追加費用無しでインストールできる豊富なバックアップパッケージを使用し、もしお客様がデータのなくしてしまった際にバックアップデータからいつでも復元できる状態を構築していきたいと語った。
同社は2021年に本社で運用しているセキュリティカメラシステムを一新し、Synology Surveillance Stationを中核とした環境に入れ替えました。その経緯と選択の理由、導入後のメリットを担当者の皆様に伺いました。
「これまで本社内で20台のセキュリティカメラシステムを運用していましたが、導入から10年近く経過して老朽化が顕著になっていました。同じメーカーでは代替製品がなく、修理も困難とわかったので設備を一新しようと考えたのが始まりです。」
マスプロ電工株式会社 総務部 副部長の山田紀彦氏は、今回のSynology Surveillance Station導入の経緯をこのように話す。新たな機器の選定は、セキュリティ製品の知見を持つ同社営業部の担当者にも相談しながら取り組んだという。
「既存のシステムはアナログ方式で、カメラとレコーダーは同軸ケーブルで接続していました。カメラの場所を変更しづらい、ケーブルの引き回しが大変で配管スペースのかなりの割合を占めている、といった問題があったので解決できればと思ったのです。営業部には、これを機にネットワークカメラにできないかと相談しました。」と総務部係長の土屋修氏は振り返る。
「カメラを34台に増設して本社のセキュリティレベルを高めること、多数のカメラと録画データを一元管理すること、不慣れな従業員でも容易に使えることなど、新しいシステムの要件を挙げて営業部と詰めていきました。」(山田氏)
新システムの検討は2019年春頃から始まり、1年ほどの期間を経て2020年夏頃にSynology Surveillance Stationの採用を決定した。2021年1月に導入を完了し、実運用を開始している。
総務部から相談を受けた営業部では、挙げられた要件に加えて拡張性なども考慮して選定を進めたとのこと。営業部 営業企画グループ係長の辻本孝広氏は、当時の状況を次のように話す。
「導入時にカメラの登録台数が決まってしまう録画装置(ネットワークビデオレコーダー)や、カメラのメーカー/機種に依存するシステムでは将来の拡張に対応するのは困難です。マルチベンダー対応のシステムなら、用途に合わせたカメラを必要なときに追加できます。そうしたシステムの1つにSynology Surveillance Stationがあったわけです。当社も以前お取引した商社様から大規模セキュリティカメラシステムとして提案を受けたことがあり、改めて機能など確認したところ今回の要件を満たしているとわかりました。」
選定の候補となるシステムはいくつかあったが、総合的なコストと使い勝手からSynology Surveillance Stationが選ばれた。Synology社製品の代理店であるアスクに実機デモを依頼し、役員へのプレゼンテーションも行った結果、関係者全員が納得できる選定になったと営業部 主任の村手俊介氏は話す。
「当社の役員も操作が簡単で使いやすいことを評価しており、実際に使う総務部としても期待どおりのシステムだと良い感触でしたね。レコーダー部分にかかるコスト感は大きなポイントで、選定の一番の要因だったと思います。今回のSynology Surveillance Station導入に合わせて、アナログのセキュリティカメラシステムとは別に導入していた5台のネットワークカメラも刷新し、環境を統一しました。」
カメラの設置場所(被写体の映り方)の再検討、工場内など配線が複雑になりがちなエリアでのケーブル敷設といった少々手間のかかることもあったが、プロジェクト全体としては滞りなく進み、新システムへの移行を完了している。
「Synology Surveillance Stationになって、使いやすく、レスポンスがとても良いと感じています。前に導入していたネットワークカメラは起動が遅く、5台のカメラの映像切替や録画の確認も動作がの処理に時間がかかっていたのですが、今は34台のカメラが軽快に動いています。わかりやすい画面表示で直感的に操作できるので、カメラのリアルタイム映像はもちろん録画映像の確認もスムーズです。」
このように山田氏は新しいセキュリティカメラシステムに満足していると話す。専用クライアントソフトウェアで複数のカメラ映像を滑らかに同期再生できることに加えて、多数のカメラのストリーミング配信を処理する専用ハードウェア「VisualStation」によって同一ネットワーク上で安定した映像表示できることはSynology Surveillance Stationの強みと言える。ライセンスの追加で必要なだけカメラを増設していけることも、将来的な拡張性に寄与している。
「今回の導入ではアスク様にも機種選定から技術サポートまで手厚く支援いただき、とても助かりました。長期保証のメニューも用意されていて、長く安心して使っていくための対応もしっかりしていると思います。我々からお客様へセキュリティソリューションとしてSynology Surveillance Stationをご提案していくことも考えていまして、今後も引き続きフォローいただけるとうれしいですね。」と村手氏はSynology Surveillance Stationと同様にアスクの対応も高く評価し、今後の展開にも期待していると話してくれた。
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2005年に活動を開始した有志団体に端を発するインターステラテクノロジズ株式会社は、ロケットの開発・運用をはじめとする宇宙事業を国内で成立させるべく民間企業としてチャレンジを続けています。「世界一低価格で、便利なロケット」を目指すと同時に、将来の事業展開を担う人材育成や各大学などとの共同実験にも積極的に取り組んでいます。
2019年5月、北海道大樹町で観測ロケット「宇宙品質にシフトMOMO3号機」を打ち上げ、民間企業が単独で開発したロケットとして国内で初めて宇宙空間に到達しました。
同社は2021年に業務で利用しているカメラシステムをSynology Surveillance Stationに移行して、多数のカメラと高精細な映像を容易に扱える優れた環境を実現しています。その経緯と選択の理由、導入後のメリットを担当者の皆様に伺いました。
「弊社ではロケットの射場や実験場、見学者のスペースなど各所に合計数十台のカメラを設置してモニタリングしています。ただ、以前のカメラシステムは1台の録画装置につなげられるカメラは8~16台が上限で、複数の装置を継ぎ足すような形で拡張していました。4~5種の録画装置が混在し、世代や操作方法も違うため一括した運用はできていなかったのです。カメラの映像をチェックする場所も複数あり、録画装置ごとに設定を変える必要があるなどかなりカオスな状況で、日々の業務の中でも大きな負担になっていました。」
インターステラテクノロジズ株式会社 開発部 電気設備エンジニアの堀井滉大氏は、Synology Surveillance Stationを導入したきっかけをこのように話す。ロケットの打ち上げ時はもちろん、エンジンの燃焼試験など現場の事象を瞬時に把握、判断する必要があるため、ストレスフリーで一貫した操作性があり、多数のカメラと映像を管理しやすいシステムが理想だったという。
「以前のカメラシステムは基本的に同じメーカーのものでしたが、録画装置をまたぐような連携や相互の映像チェックはできず、すごく不便でした。2020年7月にロケットの打ち上げを行った際にこうした点を改めて課題として認識することになり、早期に解決すべく検討を始めました。」
新しいカメラシステムの選定では、多数のカメラを一括管理できること、使いやすいこと、システムとして信頼性が高いこと、などいくつかの要件を挙げながら複数メーカーの比較検討を行ったとのこと。Synology Surveillance Stationを採用した理由を堀井氏は次のように話す。
「社内のストレージでSynology社のNAS(DiskStationシリーズ)を利用していて、管理ツールに慣れている人が多かったのです。同じユーザーインターフェースでカメラも運用できるならそれがよい、という話になったのが大きかったですね。Synology Surveillance Stationは私たちの要件をすべて満たしていることに加えて、カメラの映像配信を処理する専用機器(VisualStation)があるのでいろいろなところにカメラを配置しやすく、また耐環境性にも優れているのも選定理由でした。」
Synology Surveillance Stationの採用は2020年12月頃に決定し、2021年1月には導入を終えて本番運用をスタートしている。インターステラテクノロジズ株式会社 開発部 電気設備エンジニアの今村俊也氏は、構築や移行を短期間で終えることができたのもSynology製品に慣れている人が多かったからだと付け加える。
「機器の登録、設定、動作チェックなど一連のフローがしっかりしていて、やりやすいのですごく助かります。今回の導入でもそのメリットが発揮された形です。射場などフィールドが非常に広いので、以前のシステムもネットワークカメラでしたからその点でも移行はしやすかったと思います。」
2021年3月の時点では26台のカメラが稼働中で、これから新たなロケットの打ち上げに向けて復旧、追加していく予定と今村氏は話す。現状では34台まで増設する計画があり、その後はネットワーク帯域なども踏まえて検討していくという。
また、同社は2020年12月に本社ビルを移転した際にSynology社のNAS(RackStationシリーズ)を追加導入して、カメラの台数や扱うデータ量の増加に対応すべくより充実した環境を整えている。
「使い始めて2ヵ月ほどですが、すべてのカメラが1つのネットワークでつながっていて、見たい場所の映像をWebブラウザで自由に見られるのはとても良いですね。業務のフィールドが物理的に広いので、いつでもどこでもすぐチェックできるのは本当に便利です。録画機器も1台にまとまり、設定や管理の工数も大幅に減って日々の業務を改善できました。」
堀井氏はこのように話し、Synology Surveillance Stationの良さを高く評価している。多数のカメラを使ってもシステム側の負荷はさほど上がらず、以前は生じていた映像のがたつきや遅れ、フリーズもなくなったとのこと。
VisualStationによる映像出力は2画面同時に行うことができ、解像度が4KとフルHDになったこともメリットと今村氏は話す。
「打ち上げや燃焼実験のときに現場にいない人も、事務所などで高精細の映像をリアルタイムに見ながら状況を把握して、事象を考察できるようになりました。現場と事務所の距離感がぎゅっと縮まり、業務の質が高まっていると感じます。また、そこまで高精細ではなくてもちょっとライブ映像を見たいというニーズもあったのですが、Webブラウザですぐ見ることができ、専用ソフトが不要なのも非常にポイントが高いです。」
今回の導入では、Synology製品の代理店であるアスクからも適切なアドバイスを受け、最適なモデルを選択できたとのこと。堀井氏はアスクの対応を評価し、今後のサポートにも期待していると話してくれた。
「私たちの要件に最適な構成をご提案いただいて、とても満足しています。アスクの対応はしっかりしていて非常に感謝していますので、ぜひこれからも支援をお願いしたいですね。」
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日本電子専門学校では、「職業教育」と「キャリア教育」を教育方針の2本柱として、世界で活躍できるスペシャリストを育成している。同校の「CG・映像分野」学科の卒業生は、映画やゲーム、アニメーションなどの有名作品にCGクリエイターとして数多く参加している。その「CG・映像分野」学科で学ぶ学生のCG環境をアスクが構築した。
日本電子専門学校のCG・映像分野学科における R&Dを担当する浦正樹氏は、CG教育の現場にNVIDIAの仮想GPU ソリューション(NVIDIA vGPU)を導入した経緯について、次のように振り返る。
「きっかけは、vGPU-VDIでAutodeskのMayaが通常通りに動く、というオートデスク社の仕様書を目にしたことでした。その後、2018年に私の上長が海外研修でカナダのバンクーバーに行き、イメージワークス社のCG制作現場でVDIが使われているのを見て、それが決定打となり当校でも採用しようと検討を開始しました」
そして、浦氏を中心としたvGPU-VDIの導入プロジェクトが2018年の後半にスタートしたが計画は伸びてしまう。その理由について浦氏は「最初のパートナー選定に問題がありました。vGPU-VDIを構築した経験のないシステムインテグレータに相談したのですが、レスポンスが遅く機器構成なども具体的な提案が得られませんでした。そこで、展示会で知り合ったアスクに相談したところ、ASUSのサーバーでvGPU-VDIを構築した実績があることから、導入パートナーとして協力してもらうことにしました」と説明する。
構築されたvGPU-VDI環境は、3台のASUS製ESC4000 G4サーバーに8枚のT4 GPUを搭載し、最大で40名の生徒と数名の教員がMayaによるCG制作の授業を実施できるパフォーマンスを実現した。
構築したシステムについて浦氏は「T4 GPUによるvGPU-VDIは、ハードウェア的には満足しています。将来的にUnreal EngineやHoudiniへの展開や、希望があればAI分野をはじめとしたIT関連学科への導入についても推薦したいと考えています」と話す。
ソフトウェア仮想デスクトップ環境
VMware Horizon、NVIDIA Quadro 仮想データセンター、ワークステーション(Quadro vDWS)
キーアプリケーション
Autodesk Maya、Adobe Photoshop、Foundry Nuke
ハードウェア
サーバー: ASUS ESC4000 G4
GPU: NVIDIA T4
シンクライアント: Atrust t225L-W5
法人名: 学校法人電子学園
学校名: 日本電子専門学校
業界: 教育産業
地域: 日本(卒業生は海外でも活躍)
所在地: 東京都新宿区百人町1-25-4
設立: 1951年
校長: 船山 世界
教育分野: CG・映像、ゲーム、アニメ、デザイン、AI、情報処理、Web・モバイル、ビジネス、ネットワーク・セキュリティ、電気・電子の10 分野に、昼夜間部25 学科を設置
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医学部受験の予備校運営や学校向けのシステム開発、医療関係のソフトウェア開発などに従事する株式会社トウダイ。同社が運営する私立医学部専門オンライン予備校【はやぶさ】では経験豊富な講師陣による授業が展開され、私立医学部への受験を支えている。
同校ではオンライン授業部門も展開されており、大学入試用の映像授業の記録用途として、AJAのH.264配信/収録デバイス HELOが導入された。
AJA社のHELOは、最大1080p 60の高品質なH.264エンコードが可能で、1台のデバイスで3G-SDIとHDMIどちらのソースからの入力にも対応するパワフルな製品だ。
記録メディアは、SDカードやUSBストレージ、あるいはNAS(ネットワーク接続ストレージ)機器にも対応している。またFacebookやYouTube LiveといったCDN(コンテンツ配信ネットワーク)へのストリーミング出力も可能なため、ライブ動画配信も同時に行える設計となっている。
同校の以前のワークフローではSxSカードを映像授業の記録用に使用していたが、記録メディアとしての単価、汎用性といった点で問題視されていた。HELOをワークフローに組み込むことで、ビデオスイッチャーを介した映像をSDカードやUSBストレージといった汎用性の高い、お手頃な記録メディアへの収録が可能になったことで、導入に至った。
またHELOは、映像ソースを同時に2つの記録メディアへH.264ファイルで収録できる「リダンダント収録」にも対応している。この収録機能と併せて、H.264ライブストリーミングも同時に行える。これらの機能を利用して、HELOでライブ配信を行えば、配信完了と同時に2つの収録データが完成し、バックアップ目的あるいはクライアントや関係者向けに収録データをすぐに手渡しするといったことが可能だ。
持ち運びに適したコンパクトな筐体のHELOは、ウェブブラウザ経由の操作画面(ウェブUI)から設定、入力されたビデオソースのモニタリングが可能な仕組みとなっている。ウェブUI内のスケジューラー画面では、収録および配信の開始/停止時間を予め設定することもできる。iCal形式のファイルをインポートしたり、Googleカレンダーとリンクさせれば、メディアへの収録および配信スケジュールを予め決めた時間に自動で実行することも可能だ。このウェブUIは、日本語・韓国語・中国語・英語での表示に対応しているため、HELOはあらゆる環境での使用が可能な製品となっている。
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中華民国心臓学会(以下:TSOC)は、King Communication社が提供するビデオ制作サービスによって、手術の様子を世界中の心臓専門医へ広めています。
King Communication社は台北市に拠点を置き、医療施設や、スポーツイベント、コンサート、会議向けコンテンツの放送とライブ配信に特化した企業です。1986年以来、King Communication社は、Da Vinci Robotic 3Dでの医療映像の収録や、台湾のプロバスケットボールリーグ SBLのスポーツ中継、台湾心血管インターベンション学会(TSCI)、台湾プロゴルフ協会など、台湾全土のクライアントへ同社のライブビデオ制作サービスを提供してきました。
King Communication社は、制作フローの全体にさまざまなAJA製品を取り入れ、その性能と信頼性によって放送とライブ配信のワークフローを合理化しています。
King Communicationは、台湾内外の医療従事者、研修医、医学生向けに、HDコンテンツの撮影、収録、放送を含むライブ制作サービスを提供し、TSOCの活動目的である心臓病学における患者のケア、研究、教育の促進を支えています。
TSOCによる心臓手術の中継は、最新技術と最先端の医療機器が必要とされる手術を実現するために撮影および配信されます。
AJA製品は、その制作ワークフロー全体で活躍しています。メインおよびバックアップ収録用に複数のAJA Ki Proシリーズが導入されています。また、KUMO 1616とKUMO CPによりルーティングしています。そしてFS1-Xは、フレームの同期を管理しています。さらに、特定のプロジェクトで必要な場合には、医療機器から出力されたビデオ信号をFiDO-2RとU-TAP SDIで伝送しています。
King Communication社のジェネラルマネージャー、Chung-Chou Ku氏は以下のように述べています。
ライブ制作中はエラーやダウンタイムは許されないので、さまざまな高品質のAJA製品をワークフローに取り入れました。AJAのソリューションの信頼性のおかげで安心して採用できました。AJA製品はお客様にとっても使いやすく、お客様に高品質な成果を提供できました。
King Communicationは心臓手術中に、手術映像と医療機器の画面を同時にキャプチャーし、それぞれの映像を組み合わせたライブビデオを配信します。
医療機器から送出された映像は3G-SDIへ変換するために、2チャンネルのLCファイバーからSDIへ転送するミニコンバーター FiDO-2Rを介してファイバー経由で転送され、コンパクトな3G-SDIルーター KUMO 1616へと出力されます。
制作チームは信号や品質を損ねずに、イメージを長距離伝送できるファイバーソリューションの採用を決定していて、品質設計と安定した性能を備えるAJA FiDO-2Rコンバーターが採択されました。
手術はIkegamiのHDカメラで撮影され、そのカメラの出力信号と医療機器画面のリアルタイムキャプチャーから得られたHD信号をKUMO 1616へルーティングして組み合わされます。
KUMO 1616から送出された2系統のHD信号は、マルチチャンネルApple ProRes対応キャプチャー/プレイバックデバイスKi Pro Ultra Plusに収録され、Ki Pro Ultraでバックアップ収録に対応しています。
Chung-Chou Ku氏は以下のように述べています。
統合されたAJA製品により、私たちの放送およびライブ配信のワークフローは、スムーズで安定しています。また、AJAのサポートチームは疑問点がある場合や問題が起きた際に、いつでも対応してくれています。AJAがとても好きです。
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当資料は、現地時間2019年12月12日にメーカー発表されたプレスリリースの抄訳版です。
メーカーリリース原文 : https://www.aja.com/news/user-stories/601
2020年4月2日 - 新型コロナウイルス(Covid-19)感染拡大の影響で子供たちの外出が制限される中、フランスの公共放送であるフランステレビジョン(FTV)は、3月23日から傘下の放送局を動員して学校教育を支援しています。フランスの国民教育省(日本の文部科学省に相当する機関)が掲げた「Learning Nation」の方針に基づき、FTVは全学年を対象に、教師による授業や教育関連コンテンツの放送を始めました。午前は低学年、午後は中高を含む高学年の生徒向けの授業が割り当てられています。
また、新番組「La Maison Lumni L'émission」(France.tv studioとMedia TVが共同制作した50分間の教育番組)をテレビ放送とインターネットを通じて毎日配信しています。傘下の放送局であるフランス 2、フランス 5、フランス 4で放送される他、FTVとFrance.tv videoのウェブサイト、誰でも利用できる教育プラットフォーム Lumni.frでいつでも視聴できます。Alex Goude氏が司会を務めるこの番組は、8~12歳を対象に、フランス国民教育省と共に制作した教育コンテンツを提供しています。
新型コロナウイルスが流行する中で放送を継続するには、革新的、創造的且つ技術的なリソースとスタッフの動員が必要です。その点で「La Maison Lumni」はA/V業界の新しいあり方を体現していると言えます。今日の難しい状況下にもかかわらず、多数の関係者の強力な連携により、機材と編集システムの設置を数日で完了させました。撮影は、社会的距離の確保やその他の衛生対策を厳格に守りつつ、最小限の人員と適切な技術を用いて行われました。以下の企業の協力の元、子供たちの生活に不可欠で重要な意味を持つ番組が制作されました。
情報/ドキュメンタリー/フィクションのテレビ番組制作で多数の実績があるFRANCE TV STUDIO社は、制作の指揮または委託業務を行っています。
LA FABRIQUE社は、FRANCE TV STUDIOの依頼を受け、フランステレビジョンの社内リソースを使ってバーチャル環境を開発しています。ロフト部分の美術セットは、系列工場でデザイン・制作しました。家具はデザイナー Viviane Delieuvin氏のアドバイスを受けて、グラフィック制作はリアルタイムグラフィックユニットのビデオインテグレーター Lucas Bastian氏の監督のもとデザインされました。バーチャルシーンは、PhotoshopとBlenderでモデリングおよび作成されたエレメント/3Dオブジェクト/テクスチャを使って、全てUnreal Engineでモデリングされました。ポストプロダクションCGデザイナー Thomas Lagache氏は、小中高の3つのバーチャル教室用に4種類の背景を用意しました。
AMP VISUAL社は、映像技術の分野で長年に渡り実績のある会社です。撮影はAMP社のグリーンバックスタジオと中継車を使って、同社のチームによる操作で行われます。
AD-TV社は、その専門性の高さと実績から、クライアントのプロジェクト構想に基づき、撮影現場でのバーチャルスタジオとAR(拡張現実)ソリューションの開発をサポートしています。AD-TV社は経験豊富な開発チームに加え、Real-time Virtual Light Connector(3Dバーチャルシーンのライティングの明るさ/色/方向/自動化の制御)およびバーチャルカメラのコントローラユニットと言った、仮想世界(VR)に特化した独占的なビジネスツールを有しています。
Zero Density社は、Unreal Engineのネイティブツールである同社のリアルタイムバーチャルスタジオおよびAR(拡張現実)製品Realityを使って、ビデオI/O、キーイング、コンポジットおよび4Kで最大限にフォトリアリスティックなレンダリングを1台のマシンで実現します。Reality独自のキーヤーであるReality Keyerは、コンタクトシャドウ(設置感)、透明オブジェクトや髪の毛のようなサブピクセルの詳細までも圧巻のキーイング結果で提供します。番組内のVR装飾とARの構成要素は、パナソニックのPTZカメラ AW-UE150 5台とLuma Systemsのクレーンを使い、6つのグラフィックエンジンでレンダリングされています。
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当資料は、現地時間2020年4月2日にメーカー発表されたプレスリリースの抄訳版です。
メーカーリリース原文 : https://www.zerodensity.tv/france-tvs-la-maison-lumni-contributes-to-public-education-in-virtual-studio/
多くのローカルスポーツにスポットを当てたい─。このほど株式会社としてスタートを切ったrtv(大阪・大阪市、代表取締役CEO 須澤壮太、前 一般社団法人リコネクトテレビジョン)は、テレビで放送されないさまざまなローカルスポーツ競技を中心にインターネットライブ配信や動画メディアを通して、スポーツの魅力を広く一般に伝えている。
そして、その事業に欠かせないインターネット配信ならではのコンテンツ制作を実現する手段として活躍しているのが、NewTekのスローモーション・リプレイシステム「3PLAY®」だ。
rtvサイト:http://rtv.co.jp/
(株)rtvは、ローカルスポーツを中心にライブ配信・動画メディアの展開やSNSマーケティングを通じてスポーツと地域文化の発展を目指すインターネット事業者だ。
スポーツ競技団体と協業し、中継を通じてコアなファン層の開拓や、放送局やインターネット事業者へのコンテンツ販売をすることで露出とマネタイズを確立し、競技そのものの発展を後押ししていく。また放送局やスポーツ用品メーカーなどとも協業し、テレビ放送や商品プロモーションへの導線づくりの事業も行なっている。 特にrtvが力を注いでいるのはアメリカンフットボールで、競技団体とともに展開するメディア「アメフトライブby rtv」の運営をはじめ、ライブ配信の企画・制作・SNSマーケティングを通してアメリカンフットボールの盛り上げに一役買っている。
「私たちのこだわりは、あくまでインターネットに事業ドメインを置いたサービスを展開することです。中継車を活用する放送クオリティの制作は素晴らしいものですが、私たちが目指すのはクオリティだけではありません。視聴者がインターネットで本当に見たい映像とはなにか。発展が急速な動画市場の中で常にそこを考えながらクオリティと機材のバランスを追求することでコストパフォーマンスを最適化でき、ローカルスポーツ配信の実現に重要だと考えています。」(rtv代表取締役CEO・須澤壮太氏)
そして、この「ネットならでは」へのこだわりこそが、「3PLAY」をはじめとしたNewTekのシステムとマッチした。
NewTekの「3PLAY」は、スポーツ中継に欠かせないスローモーション・リプレイ再生を簡単に実現できるシステム。SDI入出力はもとより、IP伝送テクノロジー「NDI®」(ネットワーク・デバイス・インターフェイス)にもネイティブで対応していることから、SDI/IPのハイブリッドなシステムとして活用が広がっている。
「まず、価格的に手頃だったというのがあります。アメフトなどのスピーディかつ戦略的な競技の中継ではスロー・リプレイ再生は必須ですが、従来の放送制作機材を導入するのはコスト的に厳しい。その点「3PLAY」はコスト的にも機能的にも最適でした」(須澤氏)。
中継時のスロー・リプレイ再生はもちろん、すぐにデータを吐き出せる機能を活かしてベストプレーを瞬時にSNS向け動画としてアップロードし、ライブ配信中のPRをしたり、ハイライト番組の制作が容易といった点も、ネットと高い親和性を持つ「3PLAY」を評価するポイントとなっているそうだ。
また、rtvではコンテンツ制作にあたって学生インターンを起用することも多く、いわば制作技術の素人がシステムに携わるケースも少なくない。その場合も、教えることの多くは「どの場面をリプレイ・スローにすべきか」という運用面でのアドバイスであり、システム自体のオペレーションについては誰もが簡単に扱えているという。
スポーツ中継に欠かせないスローモーション・リプレイを簡単に実現できるNewTekの「3PLAY」
「3PLAY」を活用したrtvのスポーツライブ配信において、とりわけユニークな演出につながっているのが「テレストレーター機能」だ。
スロー・リプレイ再生の画面に手書きで円や矢印などを書き込み、リアルタイムに戦術やプレーのポイントを分析。一般の視聴者に伝わりづらい部分をわかりやすく解説できるという点においても、優れた演出を実現している。
こうした高度な演出を実現しているのは、「3PLAY」の機能性とNDIの取り回しの良さだ。「MicrosoftのSurfaceで映像を受け、そこでタッチペンを使って書き込んだ映像を送り返しています。LANケーブル1本で送り返しが可能なのはIPベースの利点であり、またNDIの良さを活かせている部分と考えています」(須澤氏)。 驚くほど簡易なシステム構成で、放送クオリティに近い特徴的な演出を提供する。IPベースでシステムを構築するrtvならではの活用であるとともに、NDIの利点をうまく引き出した事例と言えるだろう。
MicrosoftのSurface上でNewTek Telestrator(テレストレーター)を使用
「特にローカルスポーツの魅力を広く伝えていくことを目指す私たちの事業において、重要なのはコンテンツの量だと思います。まだまだ映像コンテンツ化されていないスポーツ競技が多くあります。コンテンツの量を増やしながらも視聴者が飽きない映像作りはクオリティ面からもコスト面からも大きな課題でした」(須澤氏)。
早くからローカルスポーツのライブ配信サービスに着目し、スポーツライブ配信黎明期から事業に取り組んできた須澤氏は、だからこそ「3PLAY」導入の効果を強く実感する。
「スローとリプレイ再生、SNS連携、そしてテレストレーターのようなNDIならではの機能によって、私たちのライブ配信コンテンツは演出面で一気にリッチになり、視聴者の心を掴めるものになったと思います。当然、視聴者の反応も良くなりましたし、同時に試合のビデオ判定にも活用しています。目指すところである『競技のさらなる発展』にもつなげやすくなりました」(須澤氏)。
安価で取り扱いやすいNewTekのシステムは、今後、コンテンツ数を増やしていく上でも大いに貢献することになりそうだ。「関西で機器のレンタル事業などを行なっている『はんぷ株式会社』がNewTek製品を多く採用(「TriCaster」「TalkShow」「3PLAY」など)していることも、私たちにとっては心強い。関西地区としてNDIの採用事例が増えることで、活用の幅も広がってきていると考えています」(須澤氏)。
映像コンテンツ化することで、競技の発展をサポートする。関西を中心としたこうした動きが今後、どこまで広がりを見せるのか。そして、そうした実りある事業を支えるシステムとしてNewTek製品やNDIがどのような活躍を見せていくのか。
さらなる発展と飛躍に、今後も注目が集まる。
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株式会社NKインターナショナルでは、道内外18箇所の拠点に31台のIPカメラを設置し、全てを本社にてライブビューでの閲覧を可能としている。実はこれらのIPカメラの目的は防犯ではなく店舗と本社を繋ぐための「どこでもドア」を目指したもので、店舗の動きを問題も含めてリアルタイムに繋げてくれる必要から生まれました。
遠くの店舗で今実際に何が起こっているのか?本社に居ながら共有・共感し、必要とあればコミュニケーションツールとして活用するべく、Synology Surveillance Stationがその中核となって活動してます。
Synologyを選んだ理由について、代表取締役 木田社長と、システムインテグレータとなった株式会社曽我の鈴木ディレクターに機器選定から目的、構築から運用までのお話を伺いました。
「最初の目標と言うのは監視では無かったんです」木田社長は当時を振り返って静かに話始めた。
「遠く離れた店舗の管理では様々な問題が発生します、特にアルバイトや若いスタッフの管理は現場でも大変なものですが、特に規模が大きくなってくるとエリアのケアには色々と難しい。本社と店舗の間に「どこでもドア」があって、何かあったら本社の管理者がそこを開ける、と言う仕組みを作りたかったんです。」
もちろん、ここで言う「どこでもドア」は比喩であって、本物を作ろうとした訳ではないが、木田社長は本社管理者が、いかに遠く離れた店舗とリアルタイムに問題を共有し、何かあっても本社側から対応出来る体制を求めた訳です。
「実は監視カメラと言うのは録画用に既にありました。」しかし、今回欲しかった「どこでもドア」には臨場感が足りなかったと言います。具体的には各社のライブビュー映像を確認してみたが、他社ではガクガクで全く店舗を感じる事が出来なかった。しかし、Synology Surveillance Stationの場合は、ライブビュー映像が多面表示でもぬるぬると動き、店舗スタッフやお客様の動きを強く感じる事が出来ました。専門用語で言う所のFPS(Frames per Second)が高いと言う事ですが、店舗の状態をリアルタイムに確認する為には他社には無い臨場感を実現させてくれました。
Synology Surveillance Station導入以前に、実は録画用の監視カメラがありました。
でも、その録画装置の方にライブ映像を表示するという機能がなく、ライブ映像で確認となると、その端末ホストから直接カメラの映像を引っ張って来るアプリで表示するしかなかったんです。それが9画面で1秒2コマとかでしか動かすことが出来ないという状況で、ライブ映像専用装置として選定を実施しました。
そして株式会社曽我様が持って来たSynology Surveillance Stationはライブ映像が素晴らしく、かつ録画も可能と言う事だったので、結局録画とライブ両方やろうと言う事になりました。録画データの方は、実はタイムレコーダーの押し忘れなんかの対応で、人事の方で使っていたのですが、その辺もSynology Surveillance Stationのタイムライン機能を使う事で移行したら簡単に出来るようになってしまいました。今までだと、例えば誰々がタイムレコーダーを押し忘れたとなると、全部の録画データを引っ張り出して何時何分くらいの時なのか、と専門職のように探しだすのですが、Synology Surveillance Stationのタイムラインを使う事で、女性スタッフがマウスで自由に、操作感も良く簡単に出来るようになりました。
根底にあるのは、本社から店舗への「どこでもドア」を作りたかった気持ち。それはスタッフへの安心感を、何かあってもこちらから対応出来るから、と言う安心感を与える事ですね。
ショップを持っていて、同じ拠点に近いドミナントを組んでいきたい方は多いと思いますが、コミュニケーションの問題と言うのがどうしても出てしまう。そこの店舗に誰がいるのかと言ったスタッフのコミュニケーションが意外にも余りなかったりしますし、実は顔も知らないとか、名前も知らないってことが結構起きてしまいますね。
でも、我々は離れているけど、各店舗の子たちについては毎日顔を見てコミュニケーションが取れているので、誰がどんな性格かと言った事までわかっています。
NKインターナショナル本社のTVウォールでは、全ての店舗のリアルタイムの映像が常に映し出されており、誰もが参照可能な状態となっている
店舗でのトラブル発生時には、ライブビューを見ながらインカムで本社から指示をします。スタッフもベテランばかりでは無く、アルバイトや新人もおりますから、何かあった時には本社から迅速な対応をしてくれると言う事で喜んでいますよ。
店舗スタッフには、いわゆる監視カメラとして仕事や振る舞いを監視されている、と言ったネガティブな感情はありません。これはコミュニケーションツールであり、本社が黒子としてヘルプするための仕組みである事を良く理解して貰っています。
連絡や教育にも使ってますし、普段からコミュニケーションが取れてますから、出張する機会が非常に減りました。今ではほとんどありません。
Synology RS3617xs+ 2台をコアとして、VPNに接続されたカメラで構成されるライブビュー、TVウォールには、VS360HDを使用し高速ライブビューを実現
「監視カメラじゃなくて、管理カメラと言いたいですね、こう言った使い方は。」木田社長はそう言って、自身の作りたかった仕組み作りと、その実現としてSynology Surveillance Stationの役割について、これからももっと良いものを実現していって欲しい、大変満足していると言う事で話を締めて頂いた。
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